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アメリカのドナルド・トランプ大統領は、メキシコとカナダからの輸入品に25%、中国からの輸入品に10%の関税を課すことを発表した。これは、CNNがホワイトハウスの声明を引用して報じたもので、2月3日(土)から発効される予定である。この関税措置は、アメリカの保護主義政策の一環とされ、特に中国に対する制裁としてフェンタニル問題を名目としている。
背景とアメリカ政府の主張
ホワイトハウスの報道官キャロライン・レヴィット氏は、今回の関税措置について「中国、メキシコ、カナダが違法なフェンタニルの供給と流通を許しており、それが数千万人のアメリカ人の命を奪った」と述べており、フェンタニル問題が主な理由とされている。
アメリカ国内ではフェンタニルが薬物問題の大きな要因とされ、2020年代に入ってからオピオイド危機が深刻化している。アメリカ政府は以前から中国を含む複数の国をフェンタニル流通に関与していると批判してきたが、中国政府はこれに対し、自国の麻薬取締政策は極めて厳格であり、2019年にフェンタニル類を全面的に規制する法改正を行ったことを強調している。
関税が対象とする商品と影響
NBCニュースによると、新たな関税は以下のような幅広い品目に影響を及ぼすと見られる。
・電子機器(スマートフォン、ノートパソコン、半導体)
・玩具・衣類・靴(子供向け玩具、スポーツ用品、ファッション関連)
・農産物(新鮮な果物、野菜、牛肉、豚肉)
・建材(木材、セメント)
・自動車・部品(完成車、エンジン部品、タイヤ)
特に中国からの輸入品にかかる10%の関税は、アメリカの消費財市場に直接影響を与える可能性が高い。これにより、アメリカ国内の物価上昇を招くことが懸念されている。
経済専門家の見解
中国国際貿易経済協力研究院の上級研究員であるZhou Mi氏は、この関税が「経済的な正当性を欠いており、消費者と企業のコストを上昇させ、国際的なサプライチェーンに混乱をもたらす」と指摘している。特に、アメリカ側が関税対象となる具体的な商品カテゴリーを特定せず、広範囲に適用される可能性がある点を問題視している。
中国社会科学院のLu Xiang氏も、「今回の関税措置は、中国、メキシコ、カナダというアメリカの主要貿易相手国に対して負の影響を及ぼすだけでなく、メキシコやカナダに投資している中国企業にも悪影響を与える」と述べている。さらに、「関税の引き上げはアメリカ国内のインフレを加速させ、消費者の負担を増やし、最終的にはアメリカ政府の経済政策のコントロールを困難にする」と警告している。
各国政府の反応
カナダ
カナダのジャスティン・トルドー首相は、トロントでのイベントで「カナダ政府は迅速かつ合理的な対応を行う準備がある」と述べ、報復措置の可能性を示唆した。さらに、「我々は対立を望んでいるわけではないが、もしアメリカが関税を実施するならば、我々も行動する」と強調した(CBCニュース)。
メキシコ
メキシコのエブラルド経済相は、ブルームバーグの報道に対し、「トランプ大統領の関税措置はアメリカの消費者にとって大きなコスト上昇を招く誤った政策である」と述べた。また、メキシコ政府はすでにトランプ政権の決定に備えており、必要な対抗措置を講じる準備ができていることを示唆した。
中国の対応と今後の展開
中国政府は、今回の関税措置に対し、既にいくつかの反論を展開している。中国外務省は、「中国は世界で最も厳格な麻薬取締政策を持つ国の一つであり、フェンタニル問題についてはすでに包括的な対策を講じている」と強調している。また、「アメリカは内政問題を他国のせいにするのではなく、自国の薬物政策を改善するべきである」と指摘している。