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【概要】
この記事は、2025年7月22日に行われたフィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領とアメリカのドナルド・トランプ大統領とのワシントンD.C.での首脳会談の内容を報じたものである。報道によれば、マルコス大統領は中国との南シナ海問題における防衛協力の強化と並行して、米国に対してフィリピン製品への新たな関税の大幅な引き下げを要請したが、ほとんど成果を得られなかった。
両首脳は会談に先立ち、長年にわたる米比相互防衛条約に言及し、「良好な関係」を確認した。トランプ大統領は会談冒頭で「大きな貿易協定が間近にある」と発言したが、会談後に自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」にて、フィリピンに対する関税は19%とし、これは以前通告していた水準よりも1%の引き下げにとどまったと発表した。
トランプ大統領は、両国間の貿易額の大きさに驚いたと述べ、「この協定によりさらに拡大するだろう」としたが、実質的な関税の緩和はわずかであった。この1%の引き下げがフィリピン経済に与える影響は未知数である。
マルコス大統領は、トランプ政権下で初めて訪米した東南アジアの首脳であり、訪米前には「国家利益の推進と同盟関係の強化」を目的とした重要な訪問であると述べていた。とりわけ、米国との貿易および投資の拡大を優先課題と位置づけており、フィリピン側にとって過酷な関税制度の緩和を目指していた。
一方で、防衛協力については進展が見られた。マルコス大統領は、国防長官のピート・ヘグセスとの会談において、南シナ海およびインド太平洋地域全体の安定維持における米比同盟の役割を強調した。また、米軍のフィリピン国内基地へのアクセスや共同軍事演習の継続を支持し、両国間の「継続的な対話」の重要性を訴えた。
マルコス政権は、前政権のロドリゴ・ドゥテルテ大統領が中国寄りの姿勢を取っていたのとは対照的に、米国との安全保障協力の強化を優先している。
さらに、米国務省は、フィリピンに対する総額約30億ペソ(6,000万ドル)の新たな対外援助を発表した。この援助は、エネルギー、海洋分野、経済成長支援に向けられるものであり、特にルソン経済回廊における民間セクターの開発を後押しするために最大1,500万ドルが割り当てられる予定である。これは、トランプ政権が1月以降に開始した対外援助の削減方針の中で、最初に承認された新規援助パッケージである。
なお、マルコス大統領はペンタゴンで「強化された名誉儀仗」による歓迎を受けており、これは外交関係の強さを象徴する特別な儀礼であるとされる。
【詳細】
以下は、2025年7月22日に行われたフィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領とアメリカのドナルド・トランプ大統領との首脳会談の内容である。
1. 会談の背景と目的
マルコス大統領は、アメリカ・ワシントンD.C.のホワイトハウスを訪問し、トランプ大統領と首脳会談を行った。本会談は、トランプ氏の2期目の大統領任期中において、東南アジア諸国の首脳として初めての訪米であり、両国の防衛協力および経済関係を主題とする重要な外交行事であった。
マルコス大統領は訪米前に、「アメリカとの経済的関与を深め、貿易・投資の促進を優先事項とする」と明言していた。また、現在課されている厳しい関税スケジュールの緩和を主張する方針であり、「フィリピンにとっての“解放の日(Liberation Day)”」と表現しつつ、アメリカ側と強い交渉に臨む姿勢を示していた。
2. トランプ大統領との首脳会談の経緯と結果
会談冒頭、両首脳は米比同盟の長い歴史と相互防衛条約に言及し、「良好な関係」を確認した。トランプ大統領は報道陣に対し、「大きな貿易協定が間もなく完成する」と述べた。