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ロシアの国際政治学者であるティモフェイ・ボルダチョフ氏.(Timofey Bordachev)による記事の抜粋である。

　西洋の覇権を打破して新しい世界秩序を築くことが容易な任務ではない理由について述べている。ボルダチョフ氏は、西洋の外交政策論理の根底にある公正な国際秩序の不可能性について論じ、その理論的背景や国際関係の歴史的経緯に触れている。

　西洋の外交政策論理の公正な国際秩序の不可能性

　ボルダチョフ氏は、西洋の外交政策の基本的論理は公正な国際秩序の実現が不可能であるというものであると述べている。これは西洋の視点からでは、国際政治の不公正が公然のものであり、強国と弱国の間のパワーバランスが不変であるため、これを解決することはできないとされている。

　西洋の覇権と国際秩序の形成

　過去500年間、西洋の力が支配的であり、国際法の基盤とゲームのルールを形成してきたことが、国際秩序の形成に影響を与えてきたと指摘している。国際政治の現代の秩序は、西洋諸国によって作成された手続きに基づいており、その中心的なアイデアは国際政治の不公正であるとされている。

　国際機関の役割

　過去の国際機関の創設や国際法の発展は、国際政治の不公正に変化をもたらすことはなかったとされている。国連を含む国際機関も、西洋の支配的な力を持つ国々によって操作され、強国による弱国への政策的な圧力が続いてきたと述べている。

　ロシアの立場と国際秩序

　ロシアは長い間、西洋の力に対抗しながら、独自の国際政治の哲学を提唱することはほとんどなかったとされている。アレクサンドル1世の時代やミハイル・ゴルバチョフの新しい政治思想など、一部の例外はあるものの、ロシアは自身の力不足からその影響力を広げることができなかったと指摘している。

　中国の国際秩序へのアプローチ

　中国は、公正な国際秩序を提唱するために努力しており、中国の文化や思想の要素がその背後にあるとされている。特に儒教の影響が強いとされ、中国の力の増大が西洋の覇権に対抗し、公正な秩序を推進する要因となる可能性を示唆している。

　ロシアの国際政治への貢献

　ロシアが公正な国際秩序を提唱し、その独自の経験や世界観を共有する能力は極めて重要であるとされている。この点でロシアがどのような未来のビジョンを提供できるかに関して、議論する必要があると強調されている。

　総じて、ボルダチョフ氏は、西洋の覇権と国際秩序に対するロシアの立場や考え方、そして他の国際政治主体との関係性について洞察を提供している。

【要点】

西側の覇権を打破する新たな世界秩序を構築することの難しさを論じている。西側の世界観は、公正な国際秩序は根本的に不可能であるという公理に基づいていると主張する。 この見解は、国家間の力の均衡が常に地政学的性質の客観的要因と結びついてきたヨーロッパの歴史的経験によって形作られてきた。その結果、西側諸国は世界を、強い者が常に弱い者を支配する、当然ながら不公平な場所であると考えるようになった。

西側の世界秩序は国際政治に内在する不正義に基づいていると主張している。過去500年の世界政治史は確かに西側諸国による完全な権力支配によって特徴づけられており、そのことによって主要な大国が国際法とゲームのルールの基礎を形作ることを可能にしてきたと指摘する。前世紀における数多くの国際機関の創設は、国家間の力の均衡に基づいて設立されたものであるため、この点では何も変わっていない、とも指摘する。