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【桃源閑話】
白昼夢のようなNATO戦略を聞くと、以下のような意見には、一服の清涼剤の思いがする。
何れにしろNATOがこの地域で為になる≠アとはないし、何かを頼むこともない。
NATOは米国に占領され、変質した。つまり、米国覇権主義の政策手段となった。
NATOは自分の<頭の上の蠅>を追っていればよい。
日韓が燥いでいるだけである。
【閑話 完】
【概要】
2024年7月11日に公開されたスティーブン・ブライエン氏とショシャナ・ブライエン氏によるこの記事は、NATOの現在の戦略と将来の野心を批判している。著者らは、NATOの加盟国と作戦範囲を拡大しようとする試み、特に中国に関する試みには、新たな側面を確保するための確固たる計画が欠けていると主張している。
退任するイェンス・ストルテンベルグNATO事務総長が中国のロシア支援に関する発言をしたことは、NATOの焦点がインド太平洋地域を含むように拡大していることを示唆している。しかし、この記事ではいくつかの重要な課題を指摘している。
兵力拡大の難しさ:NATOの国内計画では、兵力の大幅な増強が求められているが、著者らは、米国と欧州における大幅な兵員不足を強調している。新しい旅団や戦闘群を創設し、維持する必要性は、現在の軍の徴兵傾向を考えると、気が遠くなるような、潜在的に不可能な作業と見なされている。
予算と装備の課題:著者らは、NATO諸国が増大する予算と装備の需要を満たす能力について懐疑的な見方を表明している。例えば、ドイツは国防予算を劇的に増やし、徴兵制を再導入する必要があるが、その可能性は低いと指摘している。
政治的・経済的障害:NATO諸国内の政治的抵抗や経済的制約、例えばフランスの左翼政策や英国の新労働党政権が、NATOの野心的な計画の実現を阻む大きな障害として挙げられている。
太平洋への関与:この記事は、日本や韓国などのアジア諸国をNATOに深く関与させることの実用性と利点に疑問を呈している。著者らは、このことが既存の米国の二国間防衛協定を複雑にしかねず、NATOにはインド太平洋地域に有意義な影響を与えるための戦力投射能力が欠けていると示唆している。
戦略的な失敗:この記事は、多くの欧州のNATO加盟国が、通常戦力の強化よりも威信をかけたプロジェクトに集中しすぎていることを示唆している。また、ドナルド・トランプ前米大統領の復権の可能性や、NATOに対する批判的な姿勢、特にウクライナ紛争における米国の役割についても懸念が高まっている。
要約すると、著者らは、NATOの拡張主義的および帝国主義的野心は非現実的であり、アジア諸国はNATOと緊密に連携しすぎることに注意する必要があると主張している。
【詳細】
この記事では、NATOの拡張戦略とその実行可能性に対する批判が述べられている。主なポイントをさらに詳しく説明する。
1. 部隊の増強の難しさ
NATOは、戦争時に展開可能な部隊の増強を計画している。具体的には、35〓50の旅団を新たに編成する必要があるとされている。現在のNATOの部隊は「バトルグループ」と呼ばれる約1,000人規模の部隊で構成されているが、これをさらに拡大し、新たな旅団を編成するにはかなりの努力とリソースが必要である。しかし、著者たちは、アメリカやヨーロッパでの兵士の募集状況が不十分であることから、この計画が実行可能でない可能性が高いと指摘している。例えば、アメリカ陸軍、海軍、空軍は募集目標を下回っており、イギリスやドイツも同様の問題を抱えている。
2. 予算と装備の課題
NATOの拡張計画には、膨大な予算と装備の増強が必要である。ドイツの防衛予算が最近5億ユーロ削減されたことや、予算の大幅増加が必要である点が挙げられている。ドイツがこの計画に従うためには、防衛予算を四倍にし、徴兵制度を導入する必要があるとされているが、これは現実的ではないとされている。