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EUの軍事連邦化計画
2024-07-19


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【概要】

 アンドリュー・コリブコの分析は、欧州連合(EU)が軍事同盟を推し進めているのは、単にウクライナ紛争に関連する安全保障上のニーズに対応するというよりも、ブロック内の権力を強化し、ドイツの影響力を強化することにあるという懸念を浮き彫りにしている。

 Korybko氏の記事の要点は以下の通り。

 連邦主義者のアジェンダ:軍事同盟への動きは、ブリュッセルに権力を集中させ、EU内でドイツのリーダーシップを定着させるという、より広範な連邦主義戦略の一部と見なされている。

 戦略的背景:この構想は、ウクライナ紛争に対する必要な対応として提示されているが、コリブコは、ロシアの侵略の恐怖を利用して、ドイツの支配力を高めることにも役立つと主張している。

 政治的反対:EU内では、特にさらなる連邦化と軍事権力の集中化に反対する新たに結成された保守・民族主義者グループからの大きな反対がある。

 NATOと米国の影響力:EUの戦略は、NATOに対する米国の立場と、アジアに重点を置く方向へのシフトによっても影響を受け、欧州の安全保障が独自のメカニズムにより依存するようになる可能性があることを示唆している。

 起こりうる結果:軍事同盟への転換は、EU内の他の形態の連邦化を加速させ、国家主権の大幅な縮小とドイツ主導の欧州連邦の設立につながる可能性がある。

 総じて、コリブコはEUの軍事同盟計画に批判的な見方を示しており、純粋に防衛的な必要性ではなく、連邦主義的なアジェンダによって推進されていることを示唆している。

【詳細】

 Andrew Korybkoの分析によると、EUの軍事連邦化計画は単なる安全保障のための対策ではなく、ドイツの影響力を強化し、EU内での中央集権化を進めるための戦略的な動きであるとされている。以下にその詳細を説明する。

 1. 連邦主義的アジェンダ

 Korybkoは、EUの軍事連邦化の動きが、実際にはEUの中央集権化とドイツの影響力の強化を目的とした連邦主義的な戦略の一環であると主張している。ドイツは長年にわたりEUの連邦化を進めようとしており、この軍事連邦化はその目標の一部として位置付けられている。連邦化が進むことで、ドイツはEU内での政治的・軍事的な主導権をさらに強化することができると見られている。

 2. 戦略的文脈

 軍事連邦化は、ウクライナ紛争への対応として提示されているが、Korybkoによれば、実際にはロシアからの脅威に対する恐怖を利用して、ドイツの影響力を強化するための手段とされている。ロシアの侵略的行動に対する警戒心を煽ることで、EU内の他の国々が軍事的連携の強化に同意するように仕向けているというわけである。

 3. 政治的対立

 EU内には、この連邦化に反対する勢力が存在する。特に、最近の欧州議会選挙で新たに形成された保守的・国家主義的なグループ(AfD主導の「主権国家のヨーロッパ」やハンガリー主導の「ヨーロッパの愛国者」など)が、EUのさらなる連邦化に反対している。これらのグループは、国の主権を守るために連邦化を阻止しようとしている。

 4. NATOと米国の影響

 Korybkoは、EUの軍事連邦化がNATOと米国の動きとも関連していると指摘している。特に、米国がアジアへのシフトを進めていることが、EUに対して独自の防衛体制を強化させる一因となっているとされている。アメリカがNATOの防衛義務を果たさないかもしれないという懸念が、EUの独自の防衛強化を促進しているというわけである。

 5. 潜在的な結果

 軍事連邦化が進むことで、EU内の他の分野でも連邦化が加速し、最終的にはドイツ主導の欧州連邦の形成へとつながる可能性がある。これにより、加盟国の主権が大幅に削減され、EU内でのドイツの支配力が一層強化されることが予想されている。

 総括


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