https://www.asahi-net.or.jp/~np9i-adc/

米国:バッテリー革命を見逃した理由
2024-08-04


禺画像]
【桃源寸評】

 <下手の思案は後につく>の類である。そうそう、<下手の負け惜しみ>とも云う。

【寸評 完】

【概要】

 米国がバッテリー革命を見逃した理由に関するノア・スミスの分析は、いくつかの仮説を中心に据えており、構造的、政治的、戦略的な要因が混ざり合ってこの見落としに寄与している。

 1.サプライチェーン:スミス氏は、中国がバッテリー製造で優位に立っているのは、サプライチェーンに対する中国の支配力によるものだと主張している。これには、グラファイトやリチウムなどの材料の上流産業、バッテリー製造、家電製品やEVなどの下流産業が含まれる。この統合により、中国はより効率的かつ迅速にイノベーションを起こすことができる。

 2.政治的および産業界の反対:特にオバマ政権下での政治的力学が役割を果たしました。共和党の野党と石油業界の利益は、エネルギー省のような機関が支持していたにもかかわらず、バッテリー技術の強力な推進を妨げる可能性があった。

 3.いくつかの悪い賭けと不公平な競争:米国のバッテリースタートアップであるA123 Systemsの失敗は、競争と中国への技術移転によるもので、戦略的な失敗を浮き彫りにしている。中国の補助金や産業政策も、アメリカ企業が競争を難しくした。

 4.予想を裏切った:コンピューティングや太陽光発電などの他の技術革命とは異なり、米国政府やメディアはバッテリー革命を完全には予想していなかったし、大げさに宣伝していなかった。これにより、開発の初期段階への投資と関心が減少した。

 米国がバッテリー技術で中国に追いつき、制度的および戦略的な要因が将来の技術革命を見逃さないようにする必要があることを示唆している。

【詳細】

 アメリカが中国主導のバッテリー革命を見逃した理由について、ノア・スミスは複数の要因を挙げている。それぞれの要因について詳しく説明する。

 1.サプライチェーンの問題

 ・中国の優位性: 中国はバッテリーの製造において支配的な地位を築いている。これは、低利益率で資本集約型、かつ環境に負荷をかける産業であるため、他の国にとって参入が難しいことが一因である。
 ・素材と電子機器産業: 中国は、バッテリーに必要な材料であるグラファイトやリチウムの加工を含む上流産業を支配している。また、消費者向け電子機器や電気自動車といった下流産業も強化しており、これがバッテリー技術の革新を加速させている。
 ・迅速なイノベーション: サプライチェーン全体を管理することで、より迅速に実験や改良が行えるため、バッテリー技術の進歩が早くなる。

 2.政治的および産業的な反対

 ・共和党の抵抗: オバマ政権時代、共和党の抵抗がアメリカのバッテリー技術への大規模な投資を妨げた可能性がある。アメリカでは、文化戦争に発展する傾向があり、バッテリーに対する懐疑的な見方も存在した。
 ・石油産業の影響: 石油会社は電気自動車の普及を阻止しようとしたが、バッテリー研究そのものに対して妨害したかどうかは明確ではない。

 3.不運な選択と不公平な競争

 ・A123 Systemsの失敗: 有望だったバッテリースタートアップのA123 Systemsが、中国の企業に売却された事例は、アメリカの戦略的失敗を示している。この失敗は、技術の移転や中国企業の賢い選択に起因している。
 ・技術の盗用: 中国への技術ライセンスが、アメリカの新興企業を弱体化させ、バッテリー産業における中国の優位性を強化した。

 4.見込みの欠如:

 ・メディアと政府の失敗: アメリカは他の技術革新、例えばコンピューターや太陽光発電のように、バッテリー技術を早期に認識し、注目することがなかった。これにより、初期段階での投資や興味が乏しかったと言える。


続きを読む


コメント(全0件)


記事を書く
powered by ASAHIネット