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「ルールに基づく世界秩序」とは
2024-08-27


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【概要】

 イタリアの元外交官であるマルコ・カルネロス氏によるもので、アメリカと中国の対立を背景に、西側諸国が推進する「ルールに基づく世界秩序」に対する批判を展開している。

 カルネロス氏は、アメリカが第二次世界大戦後に作り上げたとされるこの秩序が、国際法の特定の側面を米国や西側の利益に合わせて解釈・利用していると主張している。一方で、中国はこの秩序に対して異議を唱えているとされるが、同氏はそれが西側諸国の分析や意思決定における「認知的不協和」であると批判している。

 カルネロス氏は、アメリカと中国の行動を比較し、中国が他国に対して軍事的介入をほとんど行っていないことや、主に経済や貿易の関係を発展させていることを指摘している。また、アメリカが中東で多くの外交的失敗を犯してきたのに対し、中国は最近、サウジアラビアとイランの和解を仲介するなど、成功を収めていると述べている。

 最後に、カルネロス氏は、中国が西側諸国の「ルールに基づく秩序」に挑戦しているのではなく、国際法の遵守とその一貫した適用を求めているに過ぎないと主張している。

【詳細】

 マルコ・カルネロス氏が、アメリカと中国の対立を通じて、西側諸国が推進する「ルールに基づく世界秩序」の問題点を論じている。カルネロス氏は、この秩序が、アメリカや西側諸国の利益に基づいたものであり、国際法の特定の部分を都合よく解釈していると批判している。

 ルールに基づく秩序とは何か

 カルネロス氏によれば、第二次世界大戦後にアメリカが主導して築いた「ルールに基づく世界秩序」は、国際法と同義ではなく、むしろ西側諸国の解釈や利益に合わせて作られたものである。この秩序は、表向きは全人類の利益に資するものとされているが、実際には西側の地政学的利益を正当化するためのものと指摘している。

 中国に対する西側諸国の認識

 西側の主流な認識では、中国がこの秩序に挑戦し、変えようとしているとされる。しかし、カルネロス氏はこれを「認知的不協和」と表現し、西側諸国が中国に対して無意識に持っている偏見や誤った分析が原因であるとしている。彼は、中国がこの半世紀で軍事介入を行ったのは1979年のベトナム戦争のみであり、他国に対してクーデターや介入を行ったこともなく、国連安全保障理事会の承認を得ずに制裁を課したこともないと強調している。

 中東におけるアメリカと中国の比較

 カルネロス氏は、アメリカと中国の中東での行動を比較し、アメリカが中東で一連の外交的失敗を続けてきた一方で、中国は成功を収めていると指摘する。アメリカの失敗には、2000年のイスラエル・パレスチナ和平の崩壊、2001年のアフガニスタン戦争、2003年のイラク再侵攻、そして2021年のアフガニスタンからの屈辱的な撤退が含まれる。また、アメリカはシリアの「アサド政権退陣」政策でも失敗し、核合意からの撤退などを行い、中東での影響力を失いつつあると述べている。

 一方、中国は中東で軍事的な関与を最小限に抑え、経済や貿易に注力してきた。最近では、2023年にサウジアラビアとイランの和解を仲介するなど、外交的にも成功を収めている。

 イスラエル・パレスチナ問題における中国の役割

 特に注目すべきは、カルネロス氏が、中国がパレスチナの主要な派閥であるファタハとハマスの和解を促進したことを挙げている点である。これにより、中国はイスラエルとパレスチナの和平プロセスにおいて、より信頼される仲介者としての役割を果たす可能性があるとしている。これに対し、アメリカはイスラエルに武器を提供し、国連安全保障理事会でイスラエルの行為を擁護する一方で、和平プロセスを成功させることができていないと批判されている。

 結論


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