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HTS:アレッポの大部分を占拠
2024-12-01


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【概要】
 
 2024年11月30日、イスラム主義武装勢力「ハヤト・タハリール・アル=シャーム(HTS)」を中心とするシリア反政府勢力が、シリア北西部の都市アレッポの大部分を占拠し、近隣のハマー州やイドリブ州にも進攻した。これにより、バッシャール・アル=アサド政権にとって2016年以来最大の挫折が生じた。

 シリア政府軍は、反政府勢力が複数方向から大規模な攻撃を行い、多数の兵士が犠牲になったと発表した。これに対し、軍は防衛ラインを強化し、反撃に備えるための再配置作戦を開始した。さらに、反政府勢力はアレッポ空港を占拠したと発表している。

 反政府勢力の進展と目的

 シリア人権監視団によれば、反政府勢力はイドリブやハマー州においても「戦略的な町々を次々と支配下に置いている」と報告された。この地域では多くの住民が過去に戦闘によって避難しており、現在占拠された町の多くは事実上「ゴーストタウン」と化しているという。

 反政府勢力の指導者たちは、最近のロシアとシリア軍による民間人への空爆への対抗措置としてこの作戦を行ったと述べている。さらに、シリア軍の攻撃を事前に防ぐことも目的であると主張した。

 国際的な影響

 ロシアの国防省は、シリア軍を支援するために反政府勢力に対する空爆を実施したと発表した。クレムリンのスポークスマン、ドミトリー・ペスコフはこの攻撃を「シリアの主権の侵害」と非難し、シリア政府による迅速な秩序回復を支持すると述べた。一方、シリア政府とロシア軍による空爆は、反政府勢力が支配するイドリブで民間人を犠牲にしており、4名が死亡、6名が負傷したと報告されている。

 イランはこの攻撃の背後にアメリカとイスラエルの関与があると非難したが、反政府勢力はイランの影響力が低下した今が攻勢を仕掛ける好機であると見ている。これには、イスラエルによるガザ紛争の拡大がイランとその同盟勢力に打撃を与えたことが背景にある。

 トルコの役割と対応

 反政府勢力の指導者たちは、トルコが今回の作戦を黙認していると述べているが、トルコ政府からの公式なコメントはない。トルコ外務省の報道官は、緊張のエスカレーションを避けることが重要であるとの見解を示した。

 これらの動きは、2020年以降ほぼ凍結状態だったシリア内戦の前線を再び活性化させる可能性があり、地域の安定に新たな不安をもたらしている。

【詳細】

 今回のアレッポおよび周辺地域での戦闘について、より詳細に説明する。

 反政府勢力の進攻

 反政府勢力はイスラム主義武装集団「ハヤト・タハリール・アル=シャーム(HTS)」を中心に、多数の戦闘員を動員し、アレッポ市内および周辺地域への一斉攻撃を開始した。この攻撃では、以下のような進展が見られた:

 アレッポ市内への進攻

 アレッポ市の広範囲を掌握。市内の象徴的なランドマークであるサアダッラー・アル=ジャビリ広場では、反政府勢力が集結し、反体制旗を掲げている様子が確認された。
 一部の反政府戦闘員は、過去に同地域から追放されており、今回の進攻を「故郷への帰還」と位置付けている。

 周辺地域での拡大

 ハマー州およびイドリブ州に進出し、戦略的な町を含む「数十の地域」を掌握したと報告されている。
これらの町は、過去にシリア政府軍がイランの支援を受けて制圧した際に住民が避難しており、現在は無人化している場所が多い。

 アレッポ空港の占拠

 空港は反政府勢力の支配下に入り、これによりアサド政権の戦略的輸送能力に大きな打撃を与えた。

 シリア政府軍の対応

 シリア軍は反政府勢力の攻撃を「多方向からの大規模な攻撃」と認定。これに対して、防衛ラインを強化するための以下のような再配置作戦を実施した。

 ・防御ラインの再構築


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