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【概要】
アメリカにとって重要なインド洋のディエゴガルシア軍事基地が、中国の商業的関心によって取り囲まれる未来に直面している可能性があることに注目が集まっている。
2024年10月、イギリスとモーリシャスは、かつてイギリスが支配していたインド洋の諸島群をモーリシャスに返還する合意に至った。ディエゴガルシア島を含むこの諸島群は、かつてモーリシャスに属していたが、1965年にイギリスによってモーリシャスから分離され、その後アメリカに軍事基地として貸与された。ディエゴガルシアは、インド洋でのアメリカの軍事的影響力を維持するために重要な拠点とされている。しかし、モーリシャスへの返還が実現する見通しであり、その後、観光地化される計画も進められている。
この諸島の観光地化に関心を示す中国が、ディエゴガルシアを監視するための戦略的拠点を築く可能性も懸念されている。すでにマルディブでは、中国がインフラに多額の投資を行い、その結果、インドの影響力を脅かすほどの政治的影響力を持つようになっている。そのような状況が、ディエゴガルシアにも広がるのではないかという警戒が強まっている。
ディエゴガルシアの重要性は、アメリカにとって中東、東アフリカ、南・東南アジアを結ぶ重要な海上交通路を監視し、軍事的な拠点として機能する点にある。アメリカは、過去に湾岸戦争やアフガニスタン戦争において、この基地を重要な補給拠点として使用してきた。中国がこの地に進出することで、アメリカの戦略を大きく変える可能性がある。
一方で、モーリシャス政府は、中国とインドの間で外交・経済的な駆け引きを強いられることになる。特にインドは、ディエゴガルシア返還後のモーリシャスとの関係に神経をとがらせており、中国の影響拡大を警戒している。モーリシャスはすでに中国と自由貿易協定を結んでおり、貿易面では中国に大きく依存している。このまま中国が積極的に投資を進めると、モーリシャスの外交・経済バランスに影響を与える可能性が高い。
ディエゴガルシアの返還とその後の中国の動向は、インド洋の力学に大きな変化をもたらすことが予想され、アメリカ、インド、モーリシャスの間で新たな緊張が生まれる可能性がある。
【詳細】
アメリカのディエゴガルシア軍事基地が、モーリシャスへの返還と中国の影響拡大によって、その未来が不透明になっている状況について、さらに詳しく説明する。
1. ディエゴガルシアの歴史的背景
ディエゴガルシアは、かつてモーリシャスに属していたチャゴス諸島の中で最大の島である。1965年、イギリスはモーリシャスからこの島を分離し、アメリカに対して99年間の軍事基地として貸し出した。この時、チャゴス諸島に住んでいた約1,000人の住民は、モーリシャスやセーシェルに強制的に移住させられた。これにより、ディエゴガルシアは冷戦時代から現在に至るまで、アメリカの対外戦略における重要な拠点として機能してきた。基地は、東アフリカ、インド洋、南アジアの海上輸送ルートを見渡す絶好の位置にある。
2. ディエゴガルシアの戦略的重要性
ディエゴガルシアは、アメリカにとって極めて重要な戦略拠点である。冷戦時代には、ソ連の艦隊に対抗するために中東からアジアに至る軍事活動を展開するための中継地点として使用され、湾岸戦争やアフガニスタン戦争などでも補給拠点として役立った。さらに、基地は秘密裏にテロ容疑者を収容する施設としても利用されており、アメリカの対テロ戦略の一環を支えている。
3. イギリス・モーリシャス間の合意と中国の影
2024年10月、イギリスとモーリシャスは、ディエゴガルシアを含むチャゴス諸島の返還に合意した。この合意を受けて、モーリシャス政府は、この島を観光地化し、経済発展を図る計画を発表した。モーリシャスは、ディエゴガルシアを含む諸島を利用して観光インフラを整備し、欧米やアジアからの観光客を誘致しようとしている。