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中国の政治番組「問政山東」(山東を問う)
2025-03-04


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【概要】
 
 中国の政治番組「問政山東」(山東を問う)は、地方政府の課題をテレビで直撃し、民主的監視を実践する事例として注目を集めている。この番組は山東省テレビが制作し、2019年から放送を開始。2025年3月時点で2,000件以上の市民苦情を解決したとされる。その手法と社会的影響について詳細に説明する。

 プログラムの仕組み

 番組は「公開審議」形式を採用。毎回特定テーマ(環境問題、教育、食品安全など)に焦点を当て、事前調査で明らかになった問題をVTRで提示。関係省庁の責任者がスタジオで質問に答える。特徴的な要素は以下の通り。

 1.司会者の厳しい追及

 「この汚染河川が環境局の目の前にある理由は?」「農地に建設された運動施設の合理性は?」など、核心を突く質問が連発される。高級官僚も容赦なく追及され、視聴者から「授業中に居眠りを指摘される生徒のよう」と評される。

 2.市民評価システム

 スタジオには100人の市民観察団が参加。官僚の回答に対し「満足」「不満」のプラカードで即時評価。70%以上の不満票で再説明を要求される。

 3.問題解決の追跡

 放送後3日以内に現地調査を実施。例えば漁具規制違反問題では、放送後3日間で1,000点以上の違法漁具を没収・破棄した。

 具体的事例

 ・威海市の違法漁具問題

 司会者が禁止漁具「地引き網」を実物提示。省農業局長に「なぜ根絶できないのか」と迫り、観察団から不満票が続出。放送後、大規模な取締りが実施された。

 ・済寧市の未成年者喫煙問題

 視聴者からの通報を受けて2月27日に放送。翌日には当局が調査を開始し、学校周辺のタバコ販売店に指導が入った。

 運営システム

 ・双方向参加プラットフォーム
微信公式アカウントで市民から日々数十件の質問を受け付け。48時間以内に回答することを原則とする。

 ・政府との連携体制

 山東省政府が直接主導。問題指摘後は関連部門が特別対策班を編成し、再発防止に取り組む。

 専門家の分析

 中国政法大学のZhu Wei教授は「メディア監視と行政責任の動的相互作用が、全過程的人民民主主義を体現している」と評価。中国人民大学のZeng Chi研究員は「政府と市民の橋渡し役として、問題解決志向の民主的プラットフォーム」と位置付ける。

 国際的視点からの意義

 西側メディアが「言論の自由不足」を批判する中、この番組は中国独自の「建設的メディア監視」モデルを示す。2021年『中国の民主主義』白書が掲げる「権力監督システム」の具体例として、インターネット時代の民主的ガバナンスを体現している。

 地方政府への影響

 済南市市場監督局の張氏(匿名)によると、放送内容は省内の公務員研修教材として活用され、問題発生時には即時調査チームが編成される。官僚側は「市民の政治参加権、特に監督権の実現手段」として番組の意義を認めている。

 この番組が示すのは、中国が従来の「投票民主主義」とは異なる、問題解決を軸とした実践的民主主義の模索である。テレビメディアを活用した官民対話の制度化が、地方治理の透明性向上と行政効率化に寄与している実態が窺える。

【詳細】
 
 中国のテレビ番組「問政山東」が民主的監視を通じて地方政府の社会問題解決を促進するメカニズムについて、より詳細に解説する。

 1. 番組運営の多層的構造

 1-1 問題発掘プロセス

 ・市民参加型情報収集

 公式WeChatアカウント「問政山東」では毎日50〜100件の苦情が寄せられる。2024年10月の省宣伝部データによると、投稿の78%が48時間以内に回答を得ている。投稿内容はAIによる初期選別後、記者チームが実地調査を行う。

 ・クローズドな事前調査


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