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米国の支援なしでは「ファイブ・アイズ」は機能しない可能性
2025-03-10


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・米国国家安全保障局(NSA)はECHELON(エシュロン)システムを通じて、全世界の通信を傍受・解析する能力を持ち、これは「ファイブ・アイズ」の中核的な機能を支えている。

 2. 人的情報(HUMINT)

 ・米中央情報局(CIA)は、人的情報(HUMINT)の収集において圧倒的な能力を有しており、「ファイブ・アイズ」の他の加盟国は米国の情報源に大きく依存している。
 ・HUMINTは特にロシアや中国のような敵対的国家の情報を得る上で不可欠であり、英MI6や豪ASISも独自のネットワークを持つが、米国の支援なしにグローバルな情報網を維持することは困難である。
 ・最近の報道によると、米国の情報機関はトランプ氏の政策変更を警戒し、ロシア国内の資産(スパイ)のデータを削除し始めているとされる。

 3. 米国防情報局(DIA)による軍事情報

 ・米国防情報局(DIA)は、米軍の情報部門として各国の軍事動向や戦略情報を収集しており、米国なしでは「ファイブ・アイズ」の軍事情報の質が大幅に低下する。
 ・例えば、ウクライナ戦争では、米国が提供する衛星画像、電子偵察、戦場データがNATOや「ファイブ・アイズ」にとって不可欠な要素となっている。

 4. オープンソース情報(OSINT)

 ・米国は、SNS、ニュースメディア、公開された政府報告書、ダークウェブなどを解析するリアルタイムのオープンソース情報(OSINT)収集能力を持ち、これは「ファイブ・アイズ」の情報融合において重要な役割を果たしている。
 ・米国家地理空間情報局(NGA)なども、地理空間情報や人工知能(AI)を活用した分析を行っており、これも米国主導の能力である。

 5. 国内安全保障情報(FBIとの連携)

 ・米国連邦捜査局(FBI)は、「ファイブ・アイズ」加盟国の国内情報機関(MI5、CSIS、ASIO、NZSIS)と連携し、テロ対策やサイバー犯罪などの情報を共有している。
 ・FBIは対中・対ロスパイ活動において中心的役割を果たしており、米国抜きでは「ファイブ・アイズ」の防諜能力が大幅に低下する可能性がある。

 「フォー・アイズ」移行の可能性と代替案

 ・もし「ファイブ・アイズ」から米国が排除された場合、残る4カ国(英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)は、独自の情報ネットワークを構築する必要がある。ラスムセン元中佐は、以下のような新たな情報共有の可能性を指摘している。

 (1) 英国の欧州統合路線

 ・英国がフランスやドイツと情報協力を強化し、欧州主導の情報共有体制を模索する可能性がある。
 ・しかし、フランスのDGSEやドイツのBNDは、これまで「ファイブ・アイズ」との関係が限定的であり、即座に代替となる可能性は低い。

 (2)アジア太平洋地域での新たな連携

 ・オーストラリアとニュージーランドが、日本や韓国と新たな情報共有枠組みを構築する可能性がある。
 ・すでに日本は「ファイブ・アイズ+」の枠組みに一部関与しており、今後の拡大が予想される。
 ・韓国は北朝鮮の情報収集能力が高いため、特に北東アジアの安全保障情報の共有が期待される。

 結論

 「ファイブ・アイズ」は米国の情報提供に大きく依存しており、米国抜きではその能力を維持することは困難である。特にSIGINT、HUMINT、軍事情報、OSINT、防諜活動の分野で米国の役割は圧倒的であり、英国やオーストラリアなどの加盟国単独ではこれを補うことは難しい。

 そのため、「フォー・アイズ」への移行が現実的に機能するかは疑問が残る。今後、英国やオーストラリアが欧州やアジア太平洋地域で新たな情報共有ネットワークを構築する動きが加速する可能性があるが、それが「ファイブ・アイズ」の代替となるには時間と技術的課題が伴うことは間違いない。

【要点】

 「ファイブ・アイズ」概要

 ・加盟国:米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド
 ・目的:電子通信の傍受・分析を中心としたインテリジェンス共有

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