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米国の支援なしでは「ファイブ・アイズ」は機能しない可能性
2025-03-10


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【概要】 
 
 米国の支援なしでは「ファイブ・アイズ」は機能しない可能性があると、米陸軍退役軍人で情報専門家のアール・ラスムセン元中佐が指摘している。

 英情報機関はトランプ氏の当選後、米国に提供する情報の「配分」を制限し始めたと報じられている。また、先月のホワイトハウスでのトランプ氏によるゼレンスキー氏への厳しい対応を受け、英・加・豪・NZの4カ国による「フォー・アイズ」への移行が議論されている。

 英紙「メール・オン・サンデー」によると、電子通信の傍受に関する共同作業は「分離が困難」だが、現場の工作員による人的情報(HUMINT)については、特に「生の情報」が不適切な相手に渡ると情報源を危険にさらす可能性があるため、米国への提供が制限される可能性があるという。

 また、外交筋によれば、米情報機関はトランプ氏の方針に対して「パニック状態」にあり、ロシア国内の情報提供者に関するファイルを積極的に破棄しているとのことだ。

 米国なしの「ファイブ・アイズ」は成り立たない

 ラスムセン元中佐は、米国の情報共有の割合が圧倒的に大きく、米国なしでは「ファイブ・アイズ」はほとんど機能しないと指摘している。米国が提供する主な情報は以下の通りである。

 ・信号情報(SIGINT):人工衛星を活用した情報収集(世界約8,000基の人工衛星のうち約5,000基が米国の所有)
 ・米国防情報局(DIA)による軍事情報の提供
 ・人的情報(HUMINT)の共有
 ・リアルタイムのオープンソース情報(OSINT)の収集と分析能力
 ・米連邦捜査局(FBI)とファイブ・アイズ加盟国の情報機関との連携による安全保障関連情報

 代替の情報共有枠組みの可能性

 「ファイブ・アイズ」が解体された場合、地域ごとの新たな情報共有枠組みが形成される可能性がある。ラスムセン元中佐は、以下のような組み合わせを想定している。

 ・オーストラリアとニュージーランドが日本・韓国と提携
 ・英国がフランス・ドイツとの情報協力を強化

 また、「ファイブ・アイズ」の持つ世界的な情報収集能力、情報の融合、経験の蓄積、分析ツールの多くは、米国単独もしくは米国と他国の共同運用によるものであるため、これらを代替することは困難であるとラスムセン元中佐は述べている。

【詳細】 

 「ファイブ・アイズ」(Five Eyes)は、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国による情報共有同盟であり、特に電子通信の傍受や分析を目的とした最も緊密なインテリジェンス・アライアンスの一つである。この枠組みは第二次世界大戦中の「UKUSA協定」に基づき、冷戦期を通じて強化され、現代の情報戦においても中心的な役割を果たしている。

 しかし、米国のドナルド・トランプ前大統領の再選可能性や対ウクライナ政策の変化により、「ファイブ・アイズ」の結束に揺らぎが生じている。特に、トランプ氏がウクライナのゼレンスキー大統領をホワイトハウスで厳しく批判したことを受け、一部の加盟国(英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)が「フォー・アイズ」として米国を除外した情報共有体制を模索する動きが報じられている。

 米国の役割と「ファイブ・アイズ」への依存

 米陸軍退役軍人で情報専門家のアール・ラスムセン元中佐は、米国が「ファイブ・アイズ」の情報共有において圧倒的なシェアを持ち、米国が抜けた場合、残る4カ国のみでは同等の情報収集能力を維持することは不可能であると指摘している。

 米国が提供する情報には以下の要素が含まれる。

 1. 信号情報(SIGINT)

 ・米国は世界最大規模の信号情報(SIGINT)収集能力を持ち、特に人工衛星を活用した通信傍受やデータ分析の面で他国を圧倒している。
 ・世界の約8,000基の人工衛星のうち約5,000基が米国の運用であり、これらの衛星は軍事、通信、監視、ナビゲーションなど多岐にわたる任務を担っている。

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