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パキスタン:バロチスタン紛争
2025-03-15


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【概要】 

 パキスタンは、2025年3月に発生したジャファー・エクスプレスのハイジャック事件に衝撃を受けている。この事件では、約400人が人質として取られ、その中には休暇中の兵士も含まれていた。犯行を指揮したのはテロリスト集団「バロチスタン解放軍(BLA)」であり、彼らは政治犯の釈放を要求した。しかし、パキスタン軍は大胆な作戦を展開し、事件を24時間後に終結させたが、少なくとも20人以上が命を落としたと報じられている。

 バロチスタン紛争は、バロチスタンがパキスタンに統合された際の対立に端を発しており、近年では「資源ナショナリズム」の色合いを帯びている。この概念は、バロチスタンが豊富な資源を有するにもかかわらず、その利益が不公平に分配されているとする地元の主張を指す。また、BLAやその支持者は、パキスタンがバロチスタンを中国に売り渡したと非難しているが、パキスタンはこれを否定し、インディアやアフガニスタンが紛争に関与していると主張している。

 パキスタン外務省は、ジャファー・エクスプレス攻撃について「インディアがパキスタンでのテロ活動に関与している」と非難したが、この主張には証拠が欠けており、むしろ紛争の根本的な原因やタリバンの直接的な関与から目を逸らすためのものと見なされている。BLAはアフガニスタンで保護されており、タリバンがその活動を容認または支持していることが事実であり、タリバンの責任は重大である。

 インディアが関与している可能性を主張することで、パキスタンは国内の団結を図り、インディアに対する国際的な圧力を強めることを目的としている可能性がある。また、パキスタンはアフガニスタンに対して軍事行動を認めるかもしれないが、その理由はインディアを名指しにする形で提示される可能性がある。これはロシアのウクライナ侵攻と似たような形態で、アフガニスタンでのテロリストグループへの攻撃を正当化するためのものだろう。

 ただし、インディアとの関係を強調することは、紛争の根本的な原因に目を向けないことに繋がる。これではバロチスタンの住民とのさらなる亀裂を生み、BLAの支持者や新たな参加者を増やすことになり、紛争が拡大する恐れがある。

 この問題を解決するためには、パキスタン政府がバロチスタンの住民と積極的に協力し、経済的・政治的なパートナーシップを築くことが必要だ。例えば、バロチスタン出身の退役軍人を地域のリーダーとして任命し、地域の発展に資するプロジェクトを指導させるといった方策が考えられる。これにより、分離主義的な部族指導者の影響力を抑え、地域の安定を図ることが可能になる。

 バロチスタン紛争の解決には、外国の干渉ではなく、政治的なラディカリズムと国家の失敗に起因する内的な問題を解決することが最も重要である。タリバンの支援が影響を及ぼす中で、外部勢力が紛争を利用し続ける限り、パキスタンが安定を回復することは難しいだろう。そのため、アフガニスタンへの越境軍事行動は一時的な効果をもたらすかもしれないが、持続的な解決には十分ではない。

【詳細】 

 ジャファー・エクスプレスのハイジャック事件は、2025年3月にパキスタンで発生した重大なテロ事件であり、バロチスタン解放軍(BLA)によって実行された。この事件では、約400人が人質として取られ、その中には兵士や民間人が含まれていた。犯行の目的は、BLAが要求する政治犯の釈放であったが、パキスタン軍は高度な作戦を展開し、24時間後に人質を解放することに成功した。残念ながら、事件の終息に至る過程で少なくとも20人以上が死亡したと伝えられている。

 バロチスタン紛争の背景


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