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【概要】
中国航空工業集団成都飛機工業(集団)有限責任公司は、同社と清華大学が共同開発した水素燃料ドローンが、30時間に及ぶ長時間・昼夜連続飛行に成功し、中国国内における同種の飛行記録を更新したことを発表した。この成果により、同ドローンの航続能力は世界トップ水準に達したとされる。
この水素燃料ドローンは、重さ50キログラムであり、航空機・エンジン制御の一体化設計技術を駆使して、燃料電池の出力特性を最大限に活かすブレークスルーを実現した。また、離陸時にはベースとなる自動運転車から自動的に飛び立つ革新的な方法を採用し、標準的な滑走路がなくても利用できる無人システムのデモンストレーションに成功した。
さらに、飛行中のドローンには光電子ペイロードが搭載され、地面を効果的に巡回することが可能である。加えて、5Gドローン搭載モジュールと公共ネットワーク資源を活用し、遠隔測定データや任務ペイロードの画像をリアルタイムで遠隔プラットフォームに伝送し、動的な遠隔監視を実現した。この技術により、水素燃料ドローンは「低空経済」における新たな応用シーンを広げ、グリーン航空の新事業展開において重要な役割を果たすことが期待されている。
【詳細】
1. 開発の背景と成果
中国航空工業集団成都飛機工業(集団)有限責任公司と清華大学は、水素エネルギーを動力源とする無人航空機(ドローン)の研究開発を共同で推進してきた。その成果として、今回、同機が昼夜連続かつ30時間に及ぶ長時間飛行を達成したことが報告された。これは従来のバッテリー式やガソリンエンジン式ドローンに比べて大幅に航続性能が向上しており、中国国内の技術基準を更新したのみならず、世界的にも先進的なレベルに達したとされている。
2. 技術的特徴
(1)水素燃料電池の応用
使用されているのは水素燃料電池である。水素と酸素の化学反応により電気を発生させるこの方式は、化石燃料に依存しないクリーンなエネルギー源であり、高いエネルギー密度と長時間運転が可能であることから、長時間飛行が求められる無人機に適している。
(2)航空機・エンジン一体化制御
本ドローンは、飛行機構とエンジン制御が密接に統合された一体化設計技術を採用している。これにより、出力制御の精度が向上し、エネルギー効率の最適化が図られている。また、燃料電池の出力特性に合わせた制御ロジックの構築に成功し、これが長時間・安定飛行の鍵となっている。
(3)自動運転車からの自律離陸
特筆すべきは、自動運転車からの自動離陸という運用方式である。この手法により、従来のような滑走路や人為的操作を必要とせず、インフラの整備が不十分な地域や災害地でも即応的に運用できることを示した。これは「自動運転車+ドローン」による無人協働システムの一環である。
3. 搭載機器と通信能力
(1)光電子ペイロードの搭載
今回の飛行では、光電子ペイロードが搭載された。これは主に高解像度カメラや赤外線センサーなどを含み、夜間や悪天候下でも高精度な地上観察や巡回監視が可能である。このことにより、治安維持、災害監視、環境調査、インフラ点検など幅広い分野での応用が見込まれている。
(2)5G通信と遠隔監視
加えて、5G通信モジュールを搭載し、公共通信インフラと連携することで、遠隔地からのデータ取得および監視がリアルタイムで可能になった。任務中に得られたセンサーデータや画像は、クラウドベースの遠隔プラットフォームへ即時伝送され、動的な状況監視や判断が現地以外の指揮所でも行える。
4. 戦略的・産業的意義
本プロジェクトは、中国が国家戦略として推進している**「低空経済」および「グリーン航空」**の推進に直結している。