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ベセント財務長官の発言は、米中間で再燃した報復的関税合戦の文脈で発せられている。
・米国側の措置:中国製品に145%の関税を課す。
・中国側の報復:全米国製品に125%の関税、加えて一部の製品にさらに20%の追加関税を実施。
このように、両国間の対立は貿易から資本市場へと波及しており、企業活動や投資家心理に大きな不確実性をもたらしている。
4. 上場廃止の影響範囲:286社、時価総額1.1兆米ドル
仮に米国が本格的に中国企業の上場廃止(delisting)を進めた場合、次のような実態が影響を受ける。
・対象企業数:286社(2025年3月7日時点)
・上場先:NYSE、NYSEアメリカン、ナスダック
・合計時価総額:1.1兆米ドル
これらの企業には、中国のハイテク大手や金融、消費、医療関連の主要企業が多数含まれており、投資家のポートフォリオに与える影響は極めて大きい。
5. 投資家の視点と市場の反応
ゴールドマン・サックスの分析では、特にADRの上場廃止リスクに対して、機関投資家や市場参加者が高い警戒感を示していると述べられている。報告書では、「資本市場では、株式投資家が中国ADRの上場廃止リスクに非常に注目している」との見解が示されている。
このような不安は、証券取引所や外国為替市場にも波及し、株価の変動性(ボラティリティ)の上昇やリスク回避的行動(フライト・トゥ・クオリティ)を引き起こす要因となり得る。
政治的緊張の高まりにより、資本市場にも深刻な構造的リスクが顕在化しつつあることが読み取れる。
【要点】
1.デカップリングの概要
・米中両国の資本市場における**「極端なデカップリング」が進行した場合、金融市場全体で最大2.5兆米ドル**規模の資産売却が発生する可能性がある。
・これは主に政治的・規制的要因により、相互の資産保有が不可能になるケースを想定している。
2.米国側の影響
・米国投資家は、米国に上場する中国企業の株式を最大8000億米ドル分売却する必要が生じる。
・これにはADR(米国預託証券)を通じた中国株投資も含まれ、市場流動性と株価に大きな打撃を与える。
3.中国側の影響
(1)中国政府および投資家は、以下の米国資産を保有しているが、それらを政治的・報復的措置として売却する可能性がある。
・米国債:1.3兆米ドル
・米国株式:3700億米ドル
(2)一斉売却により、米国市場の金利上昇・株価下落を招くおそれがある。
4.デカップリングの引き金
(1)米国財務長官スコット・ベセント氏が、中国企業の**米国市場からの上場廃止(delisting)**の再検討を示唆。
(2)これは、激化する米中関税合戦の一環である。
・米国:中国製品に145%の関税
・中国:全米国製品に125%、一部製品に**さらに20%**の報復関税
5.上場廃止の影響範囲
・2025年3月時点で、286社の中国企業が米国の証券取引所(NYSE、NYSEアメリカン、ナスダック)に上場。
・合計時価総額は1.1兆米ドルに達しており、廃止されれば米中双方の投資家に広範な影響を及ぼす。
6.投資家・市場の反応
・ゴールドマン・サックスは、ADRの上場廃止リスクに対して、投資家が極めて高い関心と警戒心を抱いていると指摘。
・このリスクは、株式市場全体のボラティリティ上昇や、資産の安全志向(リスク回避)につながる。
以上のように、米中デカップリングの金融的影響を具体的かつ数量的に提示しており、政策判断による市場動揺の深刻さを明らかにしている。
【参考】
〓 ADR(American Depositary Receipt、米国預託証券)
1.概要
・ADR(米国預託証券)は、米国外の企業の株式を、米国の投資家が米ドル建てで取引できるようにした証券である。