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米中間の資本市場における「極端な」デカップリング(分断)の可能性
2025-04-15


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【桃源寸評】

 国交断絶というシナリオを想定されるか。(〓〓〓参考〓)

【寸評 完】

【概要】

 米中間の資本市場における「極端な」デカップリング(分断)が生じた場合、株式および債券の売却によって最大で2.5兆米ドルの損失が発生する可能性があると、ゴールドマン・サックスが分析している。

 この報告書は、ゴールドマン・サックスのアナリストであるキング・ラウ(Kinger Lau)およびティモシー・モー(Timothy Moe)らによって作成されたものであり、米国と中国の投資家がそれぞれ相手国の株式および債券保有を放棄せざるを得なくなる極端なシナリオを前提としている。

 具体的には、米国投資家は、米国の証券取引所で取引されている中国企業の株式約8000億米ドル相当を売却する可能性があるとされている。一方で、中国側は、米国債保有分1.3兆米ドルおよび米国株式保有分3700億米ドルの売却に踏み切る可能性がある。

 このような見通しは、米国の規制によって米国投資家の対中投資が制限されるという前提に基づいている。

 米中間のデカップリングのリスクは、貿易分野にとどまらず資本市場にも波及しており、米国財務長官スコット・ベセント(Scott Bessent)が米国に上場する中国企業の上場廃止の可能性に言及したことが、その動きを象徴している。これに先立ち、トランプ政権は中国からの輸入品に対して145%の関税を課しており、中国側もすべての米国製品に125%の関税、特定の米国製品にはさらに20%の関税を上乗せして報復措置を講じている。

 ゴールドマン・サックスの報告書では、「資本市場において、株式投資家は中国のADR(米国預託証券)の上場廃止リスクに再び注目している」と述べられている。

 実際にこのリスクが現実化すれば、中国の大手テクノロジー企業を含む約300社に影響が及ぶこととなる。米中経済安全保障調査委員会(US-China Economic and Security Review Commission)によれば、2025年3月7日時点で、NYSE(ニューヨーク証券取引所)、NYSEアメリカン、ナスダックには合計286社の中国本土企業が上場しており、これらの企業の時価総額は合計で1.1兆米ドルに達している。

【詳細】

 1. デカップリングの定義と背景

 「デカップリング(decoupling)」とは、これまで相互に深く結びついていた国家間の経済・金融関係を切り離す動きのことである。本件では、世界最大規模の資本市場を有する米国と中国が、政治的・安全保障上の理由から資本市場における相互依存を解消しようとする動きが「極端な」段階に至った場合を想定している。

 この懸念は、米国の新たな財務長官であるスコット・ベセント氏が、米国上場の中国企業の上場廃止(delisting)を再び検討対象とすると明言したことを契機として再燃した。

 2. 想定される金融市場への影響:最大2.5兆米ドルの損失

 ゴールドマン・サックスが示した試算によれば、米中デカップリングが現実化した場合、以下の通り、双方の投資家が大規模な資産の売却を強いられると見られている。

 (1)米国側の売却想定

 ・中国企業株式:約8000億米ドル

 これは、米国投資家がADR(米国預託証券)などの形で保有している中国企業の株式に相当する。規制により米国投資家がこれらの資産に投資できなくなれば、大量の売却が発生し、流動性・価格に深刻な影響を与える。

 (2)中国側の売却想定

 ・米国債:1.3兆米ドル

 中国は外貨準備として米国債を大量に保有しており、政治的対抗措置としてその放出に踏み切る可能性がある。

 ・米国株式:3700億米ドル

 中国の機関投資家や国家系ファンドが保有する米国企業株の売却も想定されている。

 これらの売却が同時に実行されれば、合計で2.5兆米ドル相当の資産が市場に放出されることとなり、世界的な金融市場の混乱を招くと警告されている。

 3. デカップリングの契機:貿易戦争の激化


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