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大祖国戦争(第二次世界大戦のソ連における呼称)の人口損失
2025-05-06


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【概要】

 2025年5月6日、ロシア連邦安全保障会議のセルゲイ・ショイグ議長は、ロシスカヤ・ガゼータ紙に寄稿した記事において、大祖国戦争(第二次世界大戦のソ連における呼称)がソビエト連邦にもたらした人口損失について分析を行った。

 ショイグ議長によれば、戦争における軍事行動による直接的な人的損失は約2700万人に達した。これに加えて、飢餓や病気などの戦争に付随する要因による間接的損失は650万人とされている。また、戦争で負傷し、身体に障害を負った数百万人の人々も、戦後ほどなくして死亡したとされる。

 さらに、戦時中の子供の死亡数は約800万人に達し、出生率は1550万人分減少した。この出生数の減少も、戦争が社会にもたらした間接的損失の一部として考慮されている。

 これらの数値を合算すると、大祖国戦争によってソ連が被った直接的および間接的な人口損失は、おおよそ5000万人に上るとショイグ議長は結論づけている。

 この見解は、戦争の被害を総体的に評価しようとする試みであり、直接的な戦死者数に加えて、戦争が社会構造や人口動態に与えた影響までをも含めた広義の損失として提示されている。

【詳細】

 セルゲイ・ショイグ議長がロシスカヤ・ガゼータ紙に寄せた寄稿記事において示された「大祖国戦争によるソビエト連邦の人口損失約5000万人」という数値は、従来の一般的な理解(戦死者約2700万人)を大きく上回るものであり、人的損失の定義を拡張し、総合的な人口影響までを含めた分析に基づいている。

 以下に、ショイグ議長の主張する各要素について詳述する。

 @ 軍事行動による直接的損失:2700万人

 これは従来からソ連政府やロシアの公的見解として提示されてきた数字であり、戦場での戦死者、空襲や包囲戦による民間人の死者などが含まれている。最大の激戦地であったスターリングラード、レニングラード、モスクワ攻防戦などの死者数が突出しており、特に都市部での包囲による餓死や砲撃による死傷が深刻であった。

 A 飢餓・疾病などによる間接的損失:650万人

 戦時中、食料の配給制度は破綻し、多くの都市や農村で飢餓が発生した。特に1941年から1944年にかけてのレニングラード包囲戦では、都市全体が孤立状態に置かれ、飢餓と寒さにより100万人以上が死亡したと推定されている。また、医療インフラが崩壊したことにより、戦傷の適切な治療を受けられず死亡した例や、チフス・赤痢などの感染症による死者も多かった。

 B 戦傷による後年の死亡:数百万人

 戦争で重度の負傷を負い、身体に障害を残した者の多くは、戦後も十分な社会福祉を受けられず、数年以内に死亡したとされる。こうした人々は公式の戦死者数には含まれていないが、戦争の直接的帰結として考えられる。このような戦傷者は、統計上「生存者」として処理されていたが、ショイグ議長はこれを「事実上の損失」とみなして計上していると解される。

 C 子供の死亡:800万人

 戦争中、多くの子供が爆撃や飢餓、感染症などにより命を落とした。また、戦災孤児となり、生き延びる手段を持たなかった子供も多く、その正確な数は把握困難とされてきたが、800万人という数値は戦争が未来世代に及ぼした影響を象徴的に示している。

 D 出生数の減少:1550万人

 戦争によって多くの若年男性が動員され、また家庭生活が崩壊したことにより、出生率が大幅に低下した。ショイグ議長はこの「失われた出生」を、戦争によって本来生まれるはずだった人口の損失として捉えている。この考え方は、人口統計学における「潜在的損失」(潜在出生数)という概念に近い。

 総計:約5000万人の人的損失

 上記のすべてを合算すると、大祖国戦争によってソ連が失った人口は約5000万人に達する。これは当時のソ連の総人口の約30%に相当する規模であり、歴史的な国家崩壊に匹敵する水準の人的被害である。


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