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【概要】
モーニング・コンサルトによる分析によれば、アメリカの国際的な好感度が低下する一方で、中国の好感度が上昇している。これは、アメリカの通商政策が中国の国際的な立場を強化する結果となっており、その影響はすでに経済面において現れている。
特に、ホワイトハウスの政策に否定的な外国人観光客の減少や、ドルの信頼性低下などが挙げられる。加えて、アメリカ企業の海外市場での貿易や投資の機会も、現地消費者による米国製品の忌避により損なわれつつあるという。
モーニング・コンサルトの政治インテリジェンス責任者であるジェイソン・マクマン氏は、「アメリカに対する評価が悪化する中で、米国企業の海外ビジネスチャンスも減少する可能性がある」と述べている。
さらに、共和党の税制改革法案に含まれる特定の条項が、米国資産への需要を減退させる懸念もあり、また外国人留学生の受け入れ制限による経済的損失も指摘されている。
2025年5月には、中国のネット好感度は8.8ポイントであるのに対し、アメリカはマイナス1.5ポイントであった。これは、同月にモーニング・コンサルトが実施した調査に基づいており、アクシオスに独占的に提供されたデータである。
2024年1月時点では、アメリカの好感度は20ポイントを超えており、中国はマイナスであった。この変化は、両国に対する国際的な見方が大きく転換していることを示している。
モーニング・コンサルトの調査は、カナダ、フランス、日本、ロシア、イギリスなど41か国の成人を対象に行われた。調査は、各国の「ネット好感度」、すなわち肯定的評価から否定的評価を引いた数値をもとにしている。
アメリカの国際的な評価は昨年までは概ね良好であったが、2025年1月にトランプ大統領が再び就任して以降、急激に低下した。マクマン氏によれば、「2025年1月以降、大多数の国でアメリカに対する見方が悪化し、中国に対する見方が改善している。アメリカに対して有意な好感度上昇が見られるのはロシアのみである」と述べている。
一方で、中国の好感度は2020年10月以降、継続的にマイナス圏にあったが、昨年の選挙日以降に改善し始め、2025年3月以降は急速に上昇傾向を示している。特に、トランプ大統領による「解放の日(Liberation Day)」関税発表以降に顕著な上昇がみられた。
報告書によれば、「『解放の日』に発表された関税政策は、アメリカの評判に対する決定的なダメージとなった」と結論づけている。
【詳細】
本報告は、米国の調査会社モーニング・コンサルト(Morning Consult)が行った国際的な世論調査の分析結果に基づいている。この調査は、2025年5月時点における41か国における中国およびアメリカ合衆国に対する「ネット好感度(Net Favorability)」の変化を追跡したものである。ネット好感度とは、ある国に対して「好意的」と回答した割合から「否定的」と回答した割合を差し引いた数値である。
今回の調査では、中国のネット好感度はプラス8.8ポイント、アメリカはマイナス1.5ポイントであった。この数値は、米中両国の国民を除いた対象国(オーストラリア、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、メキシコ、ロシア、韓国、スペイン、英国など)において計測されたものである。つまり、第三国の視点から見た両国の相対的な評価である。
重要なのは、2024年1月にはアメリカのネット好感度はプラス20ポイント以上、中国はマイナス圏にあったという点である。これは、わずか1年半程度の間に国際社会の米中両国に対するイメージが逆転したことを意味する。