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イランに対する一方論
2025-06-19


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【概要】

 現在、イランは停戦とアメリカとの交渉再開を切望している兆候が複数報じられている。ウォール・ストリート・ジャーナルなどによると、イランはイスラエルに対し攻撃の緩和を求めるシグナルを送っているとされる。

 トランプ大統領は、自らを優れた交渉者と見なしており、これを好機と捉えている可能性がある。しかし、彼が当初提示した解決案は曖昧すぎ、イランの核開発問題および地域におけるイスラエルとアラブ諸国への脅威を根本的に解決するものではないと筆者は指摘する。

 一方、外交交渉の動きが報じられる中で、イランの体制幹部が秘密裏に国外へ脱出しているとの未確認情報もある。行き先はモスクワとの見方もあるが、確証はない。

 イスラエルは現時点で攻撃の手を緩める様子はなく、政府機関や体制指導者(最高指導者ハメネイ師は除外されているとされる)を標的に攻撃を継続しているとされる。

 アメリカは中東への軍備増強を進めており、南シナ海に展開していた空母「ニミッツ」打撃群を中東に向けて移動させている。同地域にはすでに空母「カール・ビンソン」打撃群が展開中である。

 さらに、アメリカは多数の空中給油機を大西洋経由で配備しているが、最終的な目的地は公表されていない。アメリカ海軍はイスラエルによるイランのミサイルやドローンの迎撃を支援しているほか、イギリスも中東に空軍戦闘機を派遣すると発表している。

 現時点では、イランとの交渉が実際に再開されるかは不明である。しかし仮に交渉が始まったとしても、当初のアメリカの枠組みでは、戦争を終結させるために必要な根本的問題の解決には至らないと筆者は述べる。

 最優先課題はイランの核開発計画を完全に終わらせることである。ただし、単なる核施設の査察では、イスラエルは核兵器開発再開を防ぐ手段としては不十分と見なしている。トランプ政権は「ウラン濃縮の全面停止」という一線を示したが、それをどう実現するかは具体化されていない。

 国際原子力機関(IAEA)による査察への依存は、過去の事例から信頼性に欠けるとされる。北朝鮮・イラン・シリアによる秘密核燃料炉建設をIAEAは見抜けず、これをイスラエルが空爆で破壊した例がある。イラクのフセイン政権下の核兵器計画もIAEAは把握できなかったとされる。

 IAEAのイラン査察は、爆弾級ウランの濃縮準備が行われていたとされるフォルドウ(Fordow)複合施設や、最近発見されたトリチウム「レインボー」施設など、重要施設を網羅していないと指摘されている。このため、信頼できる唯一の方法は、国内すべての核関連施設を物理的に破壊し、残存する原子炉は査察ではなく厳格な国際管理下に置くことだとされる。

 加えて、イランの弾道ミサイル計画にも制限が必要であると述べている。戦争勃発直前に、イランは未発表の中距離弾道ミサイルを試射したとされ、これは2トンの弾頭を搭載可能であり、核弾頭の搭載を目的としている可能性がある。この試験を目の当たりにしたイスラエルが、イランへの攻撃を決断した可能性が指摘されている。

 したがって、包括的な合意には大型ミサイルの廃棄と、今後一切の製造禁止が含まれなければならないとされる。

 さらに、イスラエルはハマスがガザ地区で拘束している全ての人質の即時解放と、ハマスやイスラム聖戦などへの武器供給の永久停止を求めると考えられる。イスラエルは、イランが崩壊すれば、武器供給が絶たれることでハマスは存続できなくなると見ている。

 最後に、イエメンのフーシ派への武器供給も全面禁止とすることが不可欠である。イスラエルはフーシ派によるミサイル攻撃をイランからの直接攻撃同様に容認しない姿勢を示している。

 総じて、もしトランプ政権が再び交渉に臨むならば、核問題、人質問題、フーシ派問題を含めて包括的に扱わなければ、意味のある合意にはならないと筆者は結論付けている。

【詳細】 

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