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NATOは長らくアメリカの意向によって動かされており、現在のような「自己暗示」に陥る様は、ヨーロッパの「戦略的非自立」がいかに深刻であるかを物語っている。アメリカは「金を出さねば守らない」という立場を繰り返し表明しており、NATOはワシントンの地政学的取引における交渉材料に過ぎなくなっている。GDPの5%を軍事費に充てることはヨーロッパ諸国にとって大きな負担であるが、それでもアメリカの要求を満たすには不十分であり、今後さらに多くを求められることになると警鐘を鳴らしている。ヨーロッパ諸国、特に戦争への巻き込まれを望まない国々は冷静さを保つべきであると結んでいる。
【詳細】
2025年6月24日から25日にオランダ・ハーグで開催されたNATO首脳会議において、加盟国が防衛費を国内総生産(GDP)の5%にまで引き上げるという合意を採択したことに強く反発するものである。この決定は、同年初頭にアメリカが提案した際、欧州各国から「強い反発」を受けた経緯があったが、NATO事務総長のマーク・ルッテ氏が「ワシントンの忠実な勧誘者」として、この目標の実現に尽力したと述べている。
ルッテ氏はまず「ロシアの脅威」を用いて各国の軍拡を促そうとしたが、その説得力が弱まったため、新たに「中国の脅威」を強調し、台湾問題に関して無責任な言動を行ったうえ、ウクライナ戦争を引き合いに中国を中傷する形で話題を逸らしたとする。これにより、欧州諸国に過剰な軍事支出を強いる「罠」を仕掛けたのみならず、国際社会にさらなる混乱と不安定をもたらす結果となっていると指摘する。
この5%という数値は、現在のNATO防衛支出目標である2%を大きく上回るものであり、10年間で倍以上に達することになる。これによりNATO全体の軍事支出は数兆ドル規模に増加し、同盟は「世界で最も軍事費の拡大が速い存在」となると見込まれる。2014年に防衛費2%目標が初めて採択された当時、主に東欧諸国が軍事支出を急増させたが、社説は「この10年間で東欧諸国がより安全になったのか」という問いに対し「答えは明白である」と断じている。実際には、東欧は戦争に巻き込まれ、ウクライナ危機の結果、欧州全体が経済的、政治的打撃を受けたとしている。
また、米中軍事バランスに関する懸念、たとえば「中国の海軍力がアメリカと同等」であるとか、「中国が2030年までに核弾頭を1,000発保有する」などの主張については、NATOのアジア太平洋地域への軍事的浸透を正当化するための誇張であるとみなしている。NATOが中国に対する先制的な態度を示し、「台湾海峡における紛争に備える」と表明したことは、アメリカさえまだ控えている立場よりも踏み込んだものであり、その軍事的野心が露呈しているとしている。
NATOが「他者を脅威と呼びながら自らが軍拡を進める」という行動様式を「愚かかつ悪意に満ちたもの」であると糾弾している。ルッテ氏の「NATOには脱退の自由はない」という発言についても、加盟国に対する威圧であり、強制的な軍事同盟への服従を意味していると批判している。彼が述べた「未来の安全保障のために」という表現も、実際にはヨーロッパをアメリカの戦争戦略に完全に従属させる意図のもとで発せられたものと位置付けている。
さらに、社説ではNATOの存在自体がヨーロッパの重荷になっていると主張する。ロシアとウクライナの戦争が発生した背景として、NATOが旧ソ連圏に向けて東方拡大を続けたことを挙げ、「NATOが拡大しなければ戦争は起きなかった」と断じている。