禺画像]
【概要】
2025年のNATO首脳会議が6月24日から25日にかけてオランダ・ハーグで開催された。会議後の共同声明における最も重要な「成果」は、防衛費をGDPの5%に引き上げるという合意であった。この提案は、当初アメリカが打ち出した際にヨーロッパ諸国で「強い反発」を招いていた。NATO事務総長のマーク・ルッテ氏は、アメリカの「忠実な勧誘者」として、ヨーロッパ諸国に対して財政的な負担を増やすようあらゆる手段を講じた。ロシアの脅威が説得力を失った後には、「中国の脅威」を持ち出し、台湾問題に関して無責任な発言を行い、さらにウクライナ問題を利用して中国を中傷するなどの行為に及んだ。これらは、ヨーロッパ諸国にとっての「落とし穴」であるのみならず、世界に混乱を引き起こすものであるとした。
NATO加盟国が防衛費を現在のGDP比2%から5%へと10年以内に引き上げることは、軍事支出の実質的な倍増を意味し、総額では数兆ドル規模に達する見込みである。これにより、NATOは世界の軍事支出の中でも最も急速に拡大する存在となる。なお、NATOが最後に軍事費の増額を求めたのは2014年であり、当時の増加の多くは東欧諸国に集中していた。しかし、10年を経た現在、東欧がより安全になったかというと「答えは明らかである」と述べる。東欧は戦争に巻き込まれ、ヨーロッパ全体がウクライナ危機に関与せざるを得なくなり、世界経済もその影響を受けた。これらは、NATOの制御されない軍事拡張に起因するとしている。
また、中国海軍の規模がアメリカと「同等」である、中国が2030年までに「1,000発の核弾頭を保有する」という主張を煽ることで、NATOのアジア太平洋地域への浸透を正当化しようとしていると述べている。「中国の脅威」を口実とすることで、NATOは台湾海峡での紛争の準備を表明するなど、アメリカ以上に積極的な態度を見せている。このような動きが進めば、軍事支出の増加に比例して、ヨーロッパの戦略的損失も大きくなると警告している。
NATOが他国を「脅威」と非難しつつ軍事拡張を進めるという論理は、「愚かで悪意あるもの」とし、ルッテ氏の「NATOには途中離脱はない」との発言は、加盟国に対する脅迫であると非難している。彼が主張する「我々の未来を守る」という言葉は、ヨーロッパをアメリカの「戦争の御輿」に完全に乗せる試みであると説明している。
NATOはもはや「欧州の重荷」であり、もしNATOが東方拡大を行わなければ、ロシア・ウクライナ戦争も発生しなかったと主張する。NATOが育成してきた「インド太平洋パートナー」(IP4)のうち、3か国の指導者が今回の首脳会議を欠席したことについては、中東情勢の緊迫を背景に「このサミットが罠になるのではないか」との懸念があったためと説明している。これらの国々は中東の紛争に巻き込まれることを望まず、防衛費増額の誓約にも消極的である。
米外交誌『The Diplomat』は、オーストラリアが9.11後にアメリカのイラク・アフガニスタン作戦に参加した結果、「長期的かつ不人気な戦争」に巻き込まれたと指摘している。これらの戦争は、NATOおよびアメリカ主導で開始されたものであり、「武力による平和追求」という考え方が国際社会で歓迎されていないことを示している。
アメリカの近年の不安定な行動により、多くのヨーロッパ諸国は自国の防衛力を強化し、アメリカ依存を減らすべきとの考えを強めているとされる。しかし、NATOの大幅な軍事費増加は、この目的に反している。サミット前にルッテ氏がアメリカのトランプ大統領に「ヨーロッパは大いに支払う。それはあなたの勝利になる」と語ったことが報じられ、波紋を呼んだという。このような発言はトランプ氏から軽視され、NATOの集団防衛条項に対する疑念すら抱かれているが、それでもルッテ氏は「我々は十分な支出をしていない」と欧州に訴え続けた。