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日本の艦載型レールガン報道
2025-07-11


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【概要】

 日本の艦載型レールガンは、中国の極超音速兵器に対抗するための迅速かつ費用対効果の高いミサイル防衛手段として注目されている。これにより、従来のミサイル防衛が直面している弾薬不足やコストの課題に対応しようとしている。

 2025年7月、米国の軍事専門メディア「The War Zone(TWZ)」は、日本の試験艦「あすか(JS Asuka)」に試作型の電磁レールガンが搭載されたと報じた。オンライン上の写真で確認されており、艦上での実験は同年7月中に行われる予定である。艦上で確認されたレールガンは、日本防衛省の装備庁(ATLA)が開発した陸上試作機に類似しており、6,200トン級の「あすか」にはレールガンの高いエネルギー需要を支えるためのコンテナ型電源システムが搭載されている。

 このレールガンは、5メガジュールの電力でマッハ6.5の速度で弾体を発射するとされる。ATLAは現在、銃身寿命の延伸(現行は約120発)と電力要求の削減に取り組んでおり、将来的には13DDX型護衛艦や「まや」型護衛艦への搭載を目指している。

 2025年の防衛・安全保障展示会「DSEI Japan」においては、日米間の協力が継続していることが確認され、フランス、ドイツ、中国、トルコといった国々からの関心も高まっていると報じられた。

 レールガンの導入は、日本が高価な迎撃ミサイルへの依存度を下げ、飽和攻撃に対する持続的な防衛体制を構築する戦略的転換を示すものである。アジア・タイムズは、レールガンが安価に低高度の脅威へ対応可能である点を評価している。

 一方で、中国は極超音速兵器の配備を急速に進めている。2025年3月、日本戦略研究フォーラム(JINF)の中川真樹は、中国がDF-17極超音速滑空兵器(HGV)およびCJ-10/CJ-100巡航ミサイルを装備した通常ミサイル旅団を5個に増強したと指摘した。これらは日本を射程に収める能力を有しており、DF-17は予測困難な軌道を描き、CJ-100は低高度・超音速で飛行するため、日本の弾道ミサイル防衛(BMD)を困難にしている。

 また、衛星画像からは2018年以降に旅団規模の施設が整備され、2024年には第655旅団がDF-17部隊へと転換されたことが確認されている。中川は、DF-26中距離ミサイルを配備する核搭載可能な旅団が4個存在し、旧式のDF-21Aが置き換えられているとも指摘している。

 現在、日本はイージス艦による中間段階での迎撃と、地上配備型パトリオットシステム(PAC-3)による終末段階の迎撃による2段構えの防衛体制を採用している。しかし、2022年10月の共同通信の報道によると、イージスおよびパトリオット用の迎撃ミサイルが必要量の6割しか確保されていないことが明らかになった。これに対応し、日本は2025年2月に米国からSM-6ミサイル150発(9億ドル相当)を購入したと「Stars and Stripes」が報じている。

 さらに、2025年4月の「Naval News」によると、日本はSM-6ミサイルの共同生産を米国と協議中であり、パトリオットPAC-3ミサイルの共同生産に続く動きとされる。しかし、2025年6月の同メディアの報道では、米国の2026会計年度予算(817.4百万ドル)の不足により、SM-6の生産が10発で打ち切られ、日本、オーストラリア、韓国への輸出も危機に瀕しているとされた。関連法案は上院を通過済みである。

 元米国ミサイル防衛庁(MDA)長官ジョン・ヒルは、2022年2月にTWZに対し、SM-6が米国唯一の極超音速迎撃可能なミサイルとしつつも、その能力は「初期段階にある」と述べている。

 後継となる「グライド・フェーズ・インターセプター(GPI)」の計画も遅れており、「Defense News」によると、当初2032年配備予定だったが、選定の遅延と予算削減により、2035年以降へと延期された。

 また、2024年に『Military Review』に寄稿したアンドレアス・シュミットは、多くの極超音速兵器が飛行する高度20〓60キロメートルは、地対空ミサイルやSM-3などの迎撃網の死角であると指摘した。彼は、終末段階でマッハ5以下に減速し予測可能性が増す場面での迎撃に、パトリオットシステムが有効であると述べた。


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