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EU側:「デカップリングやサプライチェーン切断は求めていない」と
2025-07-25


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【概要】

 今回の中国・EU首脳会談(第25回中国EUサミット)が世界的に注目を集めた理由は、以下の通りである。

 まず、今年は中国とEUの外交関係樹立50周年および国連創設80周年という節目の年であり、中国とEUの関係が歴史的に重要な転換点にあることが強調された。中国の習近平国家主席は、百年に一度とも言われる世界の大変革と不安定な国際情勢を背景に、両者の指導者が戦略的な選択を行う必要性を強調した。

 また、サミットの成果の一つとして、気候変動に関する共同声明が発表された。近年、一部の先進国が国際的な枠組みから離脱する中、中国とEUが共同で国際的責任を果たす姿勢を示したことは、世界の気候ガバナンスに対する信頼を高めた。この声明は、欧米メディアを含む国際世論から広く支持された。

 中国とEUの関係は、1975年の国交樹立以来、慎重な接触から世界で最も影響力ある二国間関係の一つへと発展してきた。平和共存とウィンウィンの協力を体現するモデルとされている。1975年に24億ドルだった貿易額は2024年には7,858億ドルに達し、約300倍に拡大した。また、中欧班列(中国-欧州間の貨物列車ネットワーク)は、現在26か国229都市にまで拡大している。

 過去1年間においても、貿易保護主義の逆風がある中、中国と欧州の経済協力は引き続き深化している。フォルクスワーゲンやBMWは中国への投資を増やし、CATLやBYDは欧州で新工場を設立、シーメンスは深〓で医療拠点を建設し、テンセントはポーランドのゲーム企業を買収するなど、相互の協力ニーズと潜在力の大きさが示された。

 今回の会談で、習主席は今後の中国EU関係について三つの提案を示した。「相互尊重を堅持し、パートナーシップの位置づけを強化すること」「開放と協力を堅持し、意見の相違や摩擦を適切に管理すること」「多国間主義を実践し、国際秩序を共に守ること」である。これらの提案は、歴史的経験を踏まえたものであり、現在の課題に対処する具体的な方向性を示している。

 EU側もこれに賛同し、「デカップリングやサプライチェーン切断は求めていない」とし、中国企業の欧州投資を歓迎する姿勢を表明した。さらに、中国と協力して多国間主義を推進し、国連憲章の目的と原則を守り、地域紛争の解決に貢献する意志を示した。

 習主席は、中国とEUが「国際社会の大国」として、両者の健全かつ安定的な関係が双方だけでなく世界全体の利益につながると述べた。中国とEUは、世界第2位と第3位の経済体であり、両者で世界GDPの約3分の1、貿易の約30%を占めている。その関係の安定は、経済グローバル化と多極化する世界秩序の行方にも影響を与える。

 今回のサミットは、両者が二国間関係の改善を望んでいることを示すと同時に、相互尊重、異なる立場の容認、開放と協力、相互利益の追求という原則に基づくモデルへの世界の期待を背負っている。複雑な国際環境下において、国際協力強化への強いメッセージが発信された。

 会談前から国際メディアの関心は高く、多くの西側メディアは貿易摩擦などの対立に焦点を当て、中国EUサミットを「対米関係のバロメーター」と捉える傾向があった。しかし、こうした見方は、中国とEUの関係の理性や強靭さを過小評価するものであり、中国EU関係が第三者を対象としたり、左右されたりするものでないことを見落としている。

 現在の中国EU関係の進展において、最大の障害の一つは「陣営を選ばせようとする外部からの圧力」や「冷戦思考の影響」である。このような情勢の中、今世界に最も必要なのは「協力」であり、今回の北京サミットは、中国とEUの共通認識の強さを改めて示した。

 中国は今後もEUとともに共通利益の「パイ」を拡大し、「政治化」や「リスク回避」などの雑音を実利ある成果で打ち消し、今後50年の中欧関係に新たな一章を刻むことを目指している。

【詳細】 

 1.歴史的節目としての重要性


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