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【概要】
中国が新たな無人潜水機(XLUUV)を開発し、米国の海底監視システムに対抗しようとしているという内容である。
中国の新型XLUUV(eXtra Large Unmanned Underwater Vehicle)の発表
2025年9月3日、北京で行われる第二次日中戦争終結80周年記念軍事パレードで、中国は2種類の新型XLUUVを発表する予定である。これにより、中国の急速な水中ドローン技術の進歩が示される。
・AJX002モデル: 長さ約18〓20メートルで、ポンプジェット推進とモジュール式輸送機能を備えている。
・第2のモデル: ターポリンで覆われており、二重の船尾マストとX字型舵を持つ。
パレードのリハーサルでは、少なくとも6機のXLUUVが確認されており、中国国防省は「改良された兵器・装備」を披露すると述べている。
米国の海底監視ネットワーク「フィッシュ・フック」
米国と日本を中心とする同盟国は、「フィッシュ・フック」と呼ばれる海底監視システムを西太平洋に構築している。これは、中国の潜水艦が東シナ海、南シナ海、太平洋を航行するのを監視するための固定式アレイの連鎖である。この監視網は、九州から沖縄、台湾を経由してフィリピン、インドネシア、さらにスマトラ島とアンダマン諸島にまで広がり、主要な拠点は沖縄とグアムにある。
中国の潜水艦の脆弱性
米国の海底監視網は、中国の潜水艦にとって大きな脅威となっている。ライアン・マーティンソン氏によれば、中国海軍の士官たちは、平時であっても、第一列島線内ですら潜水艦が探知される可能性が「かなり高い」と指摘している。米海軍の統合監視システムは、港から哨戒まで中国の潜水艦を追跡できるため、潜水艦の最大の利点である隠密性が損なわれている。
XLUUVによる対抗策
中国は、XLUUVを使って米国の海底監視ネットワークを無力化しようとしている。考えられる戦術は以下の通りである。
・ケーブル切断: 遠隔操作の無人潜水機で海底ケーブルを切断する。
・爆薬設置: 自律型潜水艦で爆薬を設置する。
・遅延起動: 音響信号で起動する長距離水中ドローンを使用する。
これらの戦術が大規模に展開されれば、固定式アレイを盲目にし、修理に時間を要させ、米国と味方に高価で予測可能な哨戒パターンに依存させることになる。
中国の戦略的利益
この監視網を無力化できれば、中国の軍事戦略に大きな影響を与える。
・台湾封鎖: 中国の潜水艦が台湾の港や航路に機雷を敷設し、海上交通を妨害することが可能になる。
・核抑止力: 南シナ海に展開する中国の弾道ミサイル潜水艦(SSBN)は、米国本土に到達する
射程を持つJL-3ミサイルを搭載する予定であるが、現状では米国の原子力攻撃型潜水艦(SSN)による追跡に脆弱である。しかし、XLUUVが海底アレイを妨害できれば、南シナ海の「防衛拠点(バスティオン)」戦略から、より広範で予測不可能な外洋哨戒への移行が容易になる。
米国および同盟国の課題
米国と日本、オーストラリア、インドなどの同盟国は、長年にわたり対潜水艦戦(ASW)能力を磨いてきたが、いくつかの課題を抱えている。
・資産の不足: 米国防総省の2024年中国軍事力報告書によれば、中国は60隻の潜水艦を保有しており、その生産能力は米国を上回っている。米国と同盟国のASW資産は不足しており、全ての中国潜水艦を迎撃することは困難である。
・監視能力のギャップ: 国際戦略研究所(IISS)は、米国と味方が海洋状況把握(MDA)を維持する上で課題に直面していると指摘している。インドやオーストラリアが共同哨戒や沿岸レーダーを拡大しているものの、太平洋全体ではASWと水中状況把握にギャップが残っている。
XLUUVが「銀の弾丸」ではない一方で、中国がその優位性を確立できるかどうかは、米国の監視網をどれだけ上回り、同盟国のASW防衛における隙間をどれだけ利用できるかにかかっている。