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コルビー:真の照準は東方に向けられている
2025-11-01


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【概要】

 トランプ次期政権は2024年12月23日、エルブリッジ・コルビーを国防次官(政策担当)に指名した。コルビーは第一次トランプ政権で国防総省の政策立案に携わった人物で、軍事力の増強と抑止力強化により将来の戦争、特に中国との戦争を回避することを提唱している。彼はイラク戦争以降の米国の紛争・海外介入すべてに反対し、ウクライナにおける対ロシア代理戦争も批判してきた。現実主義者(リアリスト)や抑制派の多くはこの人事を歓迎しており、トランプが11月の勝利以降指名・選出した人物の中で最も現実主義的な外交政策アプローチを代表する人物である。

【詳細】 

 コルビーの基本的立場

 コルビーはウクライナの自衛戦争を支持しているが、この戦争は米国の最優先の国益ではないと主張している。彼は現在のペースでの米国の援助と武器供与はウクライナ情勢に変化をもたらさない一方で、米国自身の防衛のための資源を枯渇させると警告している。

 Stand Togetherの外交政策担当副会長リード・スミスは、コルビーを「今日の米国防衛・外交政策における主要な保守的現実主義者」と評し、ジェームズ・ベーカーやブレント・スコウクロフトといった、曖昧な道徳主義や硬直したイデオロギーよりも権力と実用主義を優先した政治家の知的伝統に連なると述べている。同時に、彼のアプローチは理性に基づき、制約を認識し、過去の過ちから学んだ外交政策への世代交代を示すものだとしている。

 中国重視の安全保障観

 コルビーが米国の主要な安全保障上の関心事と考えているのは中国である。この点で一部の抑制派は彼と袂を分かつ。コルビーは、米国は兵器を温存し、エネルギーと焦点を中国に向けた加速的な防衛産業生産にシフトすべきだと主張している。彼は戦争回避を望んではいるが、「中国は積極的に紛争に備えている。私の見解は、戦争なしに中国がアジアを支配するのを防ぐことだ。しかし唯一の賢明な方法は、北京に紛争を開始しても得るものがないことを示すために、戦う準備をすることだ」と述べている。

 この文脈で、彼は台湾を引火点と見なしている。2024年9月にウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿した記事で次のように書いている。「過去約10年間、私はあらゆる形式で台湾防衛の準備をすべきだと主張してきた。しかし私の主張は常に、台湾自体が米国にとって存亡に関わる重要性を持つものではないというものだった。むしろ我々の中核的利益は、中国がアジアで地域覇権を握ることを拒否することにある。台湾はその目標にとって非常に重要だが、不可欠ではない。鍵は、米国人にとって合理的なレベルのコストとリスクで台湾を防衛可能にすることだ」。彼は2021年の著書でこのテーマを詳細に展開しており、主張の鋭さと執拗さは「台湾を防衛可能にするために、米国は台湾防衛の準備に集中しなければならず、台湾自身がより多くのことをしなければならない」という事実に動機づけられていると述べている。

 抑制派内部の見解の相違

 一部の抑制派、さらには現実主義者でさえ、中国の「アジア支配への欲求」それ自体が中国にとっての現実主義的立場であり、米国を脅かすものではなく、したがってコルビーが回避したいと主張する戦争をまさに誘発しかねないパワープロジェクションを必要としないと考えている。

 イランに関する立場

 興味深いことに、コルビーに対する唯一の深刻な批判者は親イスラエル派の人々で、彼がイランに対して「あまりにも穏健派」だと主張している。彼らは2012年のコラムを引用しており、そこでコルビーは米国がイラン・イスラム共和国を攻撃すべきかどうかの議論について現実主義的な視点を示している。


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