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修復と回収を並行して行う」という真のグリーンな循環モデルが実現
2025-11-08


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【概要】

 中国科学院広州地球化学研究所の研究チームが、シダ植物であるオオバノコギリシダ(Blechnum(orientale)において、希土類元素の生体鉱物化を世界で初めて発見した。この発見は、希土類元素の抽出にファイトマイニング(植物採掘)というグリーン技術を用いる、より持続可能で環境に優しい手法の確立に道を開くものである。オオバノコギリシダは、土壌中の希土類元素を高濃度に蓄積し、細胞外組織内でナノスケールのモナザイトとして結晶化させる能力を持つ。これは、通常高温の地質学的プロセスで形成される鉱物が、植物体内で非放射性かつ純粋に生成されることを示しており、汚染された土壌の修復と高価値な希土類元素の回収を両立させるグリーンな循環モデルを提供する可能性を秘めている。

【詳細】 

 希土類生体鉱物化の発見と意義

 ・中国科学院広州地球化学研究所のZhu Jianxi 氏が率いる研究チームは、シダ植物において希土類元素の生体鉱物化を発見した。これは、植物による希土類元素の生体鉱物化現象としては世界初の発見である。

 ・この成果は、ファイトマイニングと呼ばれる、ハイパーアキュムレーター(超蓄積)植物を利用して土壌から金属を抽出するグリーン技術のブレイクスルーであり、従来の希土類採掘が抱える環境問題や地政学的な課題に対する潜在的な解決策を提供する。

 ・希土類元素は、AI、新エネルギー、国防などのハイテク分野において「産業のビタミン」と呼ばれる不可欠な戦略的資源である。

 オオバノコギリシダの特性とメカニズム

 ・研究チームは、食用可能なシダ種であるオオバノコギリシダ(Blechnum(orientale)が、高濃度の希土類元素を含有することを確認した。

  ・この植物は、周囲の希土類元素を効率的に吸収し、葉の維管束や表皮組織に濃縮する、特殊なタイプの希土類「超蓄積植物(ハイパーアキュムレーター)」として機能する。

  ・吸収された希土類元素は、環境条件下で細胞外組織内で結晶化し、自己組織化を伴う鉱物化を経て、樹枝状のナノスケールモナザイトを形成することが観察された。

 ・このプロセスは、植物が希土類イオンを鉱物構造内に閉じ込め、無害化する自己防護メカニズムであり、植物による「解毒」と鉱物化のメカニズムを明らかにしている。

 ・モナザイトは希土類元素の重要な工業的供給源であるが、天然のモナザイトは通常、放射性のウランやトリウムを含有し、採掘や利用を複雑にしている。

 ・対照的に、オオバノコギリシダが自然の生育条件下で形成する「生物学的モナザイト」は純粋かつ非放射性であり、グリーン抽出に対する強い可能性を示している。

 研究の展望と応用

 この研究結果は、国際的な学術誌『Environmental(Science(&(Technology』にオンラインで発表された。

 今回の発見は、植物における生体鉱物化メカニズムに関する人類の理解を広げるだけでなく、既知の約1000種の超蓄積植物の研究に新たな道を開くものである。

 これまで、鉱物を「生成」できる生物は貝やサンゴの炭酸カルシウム(方解石、アラゴナイト)、動物の歯や骨のリン酸カルシウム(アパタイト)など、微生物や動物に限られていると考えられており、植物の「鉱物生成能力」は過小評価されていた。

 オオバノコギリシダのような超蓄積植物を栽培することで、汚染された土壌の修復や希土類採掘残渣の再生を行うと同時に、バイオマスから高価値な希土類元素を回収することが可能となる。

 これにより、「修復と回収を並行して行う」という真のグリーンな循環モデルが実現できると研究者は述べている。

【要点】

 ・発見の核心:(中国人科学者がシダ植物のオオバノコギリシダ((Blechnum(orientale)(において、世界で初めて希土類元素の生体鉱物化を発見した。


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