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G7はゼロだ
2023-08-20


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有名な英国の経済学者であり、BRICSの「父」とも称されるジム・オニール(Jim O'Neill)(註)へのインタビューを通じて、新興国経済が国際社会で大きな発言力を持つことが避けられず、G7の復活に対する考え方はばかげているとの彼の見解を紹介している。BRICS(ブリックス)とは、ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)、南アフリカ(South Africa)の5か国の略称で、新興国経済を指すグループである。

 オニールは、BRICSの概念を最初に提唱し、BRICS諸国の国際経済におけるシェアが大きく増加すると予測し、そのために「BRICSの父」と称されている。このインタビューでは、BRICSサミット、新興国経済の成長、国際通貨の多様化、G7との関係などについてオニールの見解が述べられている。

 BRICSの発展と展望:オニールはBRICSサミットの拡大や、BRICSプラスとしての展開に関する期待について語り、BRICS諸国は人口が多く感染症などの課題を共有しているため、公衆衛生や気候変動などの分野で協力すべきだと指摘している。特に中国とインドがBRICSの中で重要な役割を果たすと述べ、中国とインドの経済軌跡がBRICS全体の成長に影響を与えるとしている。

 国際通貨の多様化とRMBの役割:オニールはドルの国際通貨としての依存度が高い現状について言及し、BRICS諸国の中でRMB(人民元)がより大きな役割を果たす可能性があると述べている。しかし、RMBの国際化は中国当局の意志にかかっており、中国国内の金融市場が十分に成熟する必要があるとも指摘している。

 G7とBRICSの役割:オニールはG7に関して、経済的に主導権を持つ国が限られており、特にアメリカが経済的に支配的な存在である一方で、BRICS諸国やG20などのグループが世界的な課題に対処するためには重要だと述べている。彼はG7が復活したと主張する考え方に対しては否定的であり、G20が世界の政策形成の中心になるべきだと主張している。

 新興国経済の将来性:オニールは中国やインドを含む新興国経済の成長が世界経済の重要な牽引役となると述べており、これらの国々がますます国際的な影響力を持つことが避けられないと語っている。

 中国と世界経済の関係:オニールは中国の経済成長が世界経済に与える影響について言及し、中国の経済の動向が国際的な経済にとって重要であると指摘している。また、中国国内の消費の増加が重要であるとし、政策策定において消費の促進が必要だと述べている。

 テクノロジーの分離と経済への影響:オニールは米中間の技術分離やテクノロジーの国家主義的な動きに対して批判的であり、国際社会が同じ地球上に共存しているため、完全な分離は現実的ではないと述べている。国際的なバランス・オブ・ペイメントや国際取引の観点から見ると、分離は論理的な根拠を持たないと指摘している。

 新興国経済の役割、国際通貨の多様化、国際協力の重要性など、国際経済に関するオニールの見解を紹介している。

【要点】

ジム・オニールの「G7はゼロだ」という言葉は、G7がもはやグローバル・ガバナンスにとって適切なフォーラムではないことを意味している。中国やインドなどの新興経済国の重要性がますます高まっているため、G7はもはや世界の経済大国を代表するものではないと同氏は主張する。同氏はまた、G7は米国とその同盟国の利益を重視しすぎており、気候変動や貧困などの世界的な課題に効果的に対処することができないとも考えている。

オニール氏の見解は他の多くの専門家も共有している。ピーターソン国際経済研究所による2022年の調査では、世界のGDPに占めるG7のシェアが1990年の46%から2020年の28%に低下したことが判明した。この調査ではまた、同じ期間にわたって世界貿易に占めるG7のシェアが64%から45%に低下したことも判明した。


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