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ロシアが中東の紛争調停者として関与する可能性
2024-11-03


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ロシアはシリア内戦以降、中東での影響力を増大させており、特にシリアにおけるアサド政権への軍事介入を通じて、地域内での存在感を強めた。シリアでのロシアの影響力が、レバノンにおける停戦実現に貢献できる可能性がある。ロシアは、イランとも強固な関係を築いており、イスラエルやヒズボラとも連絡を維持しているため、各関係者の間で独自の立場を保っている。

 停戦の要素と米露の協力

 停戦案には、シリアとレバノンの国境に外国軍を配置し、ヒズボラへの武器供給を制限することが盛り込まれていると報じられている。ロシアの役割が検討される理由の一つは、シリアに駐留するロシア軍がこの地域の安全を監視できる点にある。しかし、この案を実現するためには、アメリカとロシアの協力が重要であり、特に将来のワシントン政権がどのようにモスクワとの関係を整理するかが鍵となる。

 ロシアの外交的影響力の限界

 元米国務省アナリストのモナ・ヤクービアン氏は、ロシアの影響力はシリアに比べてレバノンでは限定的であると指摘している。ロシアは歴史的にシリア政府との関係が強固であり、シリア内戦で大きな役割を果たしたが、レバノンでは宗派ごとの複雑な政治構造があり、影響力を発揮するには困難な側面もある。また、ロシアは以前にもレバノンに対して軍事援助を提案したが、西側の圧力により実現しなかった。これにより、ロシアのレバノンにおける影響力は限られたものに留まっているとされている。

 イランおよびサウジアラビアとの関係

 レバノンにおける主要な影響力は依然としてアメリカ、イラン、そしてサウジアラビアにあると考えられている。イランはシーア派武装組織であるヒズボラを支援し続けており、地域における影響力を維持している。一方で、サウジアラビアはレバノンのスンニ派コミュニティの中で影響力を持っている。ロシアはこうした各国との関係を維持しつつ、必要に応じて停戦仲介に関与する可能性があるとされている。

 中東におけるロシアの戦略的アプローチ

 ロシアは、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアと連携し、ダマスカスとの関係改善を図るなど、中東での影響力拡大を模索している。シリアのアサド政権がアラブ連盟に復帰したのも、ロシアが背景で影響力を行使した結果の一例である。しかし、レバノンで同様の成功を収めるにはさらなる困難が予想される。

【要点】

 ・記事の主旨:ロシアが中東の紛争調停者として、イスラエルとレバノンのヒズボラ間の停戦仲介に関与する可能性がある。

 ・米国の動き:アメリカのホッホスタイン氏とマクガーク氏が停戦案を進行中で、ロシアの協力も検討されている。

 ・ロシアの中東での影響力:シリア内戦での軍事介入を通じて、ロシアはシリアおよび中東での影響力を増大させた。

 ・ロシアの立場:イランとも関係が深く、イスラエルやヒズボラとも独自の連絡を保っているため、各関係者に対し中立的な立場を持つ。

 ・停戦案の要素:シリアとレバノン国境に外国軍を配置し、ヒズボラへの武器供給を制限する内容が含まれている。

 ・米露協力の重要性:停戦実現にはアメリカとロシアの協力が必要で、特にワシントン政権の対ロシア政策が鍵となる。

 ・ロシアの影響力の限界:元米国務省アナリストのヤクービアン氏は、ロシアのレバノンでの影響力は限定的であると指摘。

 ・イランとサウジアラビアの影響力:レバノンでは、イランがヒズボラを、サウジアラビアがスンニ派を支援しており、アメリカとともに主な影響力を持つ。

 ・ロシアの戦略的アプローチ:UAEやサウジアラビアと連携し、中東での影響力拡大を狙うが、レバノンでの成功には困難が伴う。

【引用・参照・底本】

At War in Ukraine, Putin Emerges as Potential Peace Broker in Middle East Newsweek 2024.10.31

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