https://www.asahi-net.or.jp/~np9i-adc/

ロシアが中東の紛争調停者として関与する可能性
2024-11-03


禺画像]
【概要】
 
 ロシアは、イスラエルとレバノンのヒズボラ間の戦争停止のために和平仲介役を果たす可能性が取り沙汰されている。イスラエルとヒズボラの間の激しい紛争を終息させるための停戦案が、アモス・ホックスタイン氏とブレット・マクガーク氏(いずれも米国大統領の顧問)の支援を受けて作成されており、ロシアはその和平構築に参加を要請されたとの報道がある。ロシアはウクライナ戦争の最中であるものの、主要な関係者すべてと良好な関係を保っているため、この取り組みが地域の安定に大きく寄与する可能性があると見られている。

 元イスラエル副国家安全保障顧問であるオルナ・ミズラヒ氏は、ロシアの国連安全保障理事会常任理事国としての地位を利用し、停戦決議が必要な場合にロシアの承認を期待していると述べた。また、ミズラヒ氏は、ロシアが現時点で地域問題に関与し、影響力を持ちたいと望んでいると指摘している。

 歴史的に、ソビエト連邦はアラブ諸国を支援し、アメリカが支援するイスラエルとの対立を続けてきた。しかし、1991年にはイスラエルとの関係を再開し、プーチン大統領の下で中東への影響力を再度強化。特に2015年にシリア内戦に軍事介入してからは、イランとシリアでの協力関係を深めてきた。この協力関係は、ロシア軍がウクライナ戦争でもイラン製ドローンを使用している点に反映されている。

 一方で、イスラエルとロシアの関係も複雑である。ロシアはガザやレバノンでのイスラエルの戦時行動を批判しているが、イスラエルのネタニヤフ首相とプーチン大統領の個人的な関係は良好で、両国は頻繁に対話を続けている。これまで、シリアにおけるイスラエルの空爆に対してロシアが反応を抑制しているのは、イスラエル軍への評価が影響しているとミズラヒ氏は分析している。

 現在、中東の焦点はシリアからガザへと移り、さらに最近ではイスラエルがレバノンのヒズボラに対する空爆と地上作戦を実施している。ヒズボラは指導者や装備の損失を被りつつも、再編を図っている。こうした中で、停戦協議が行われ、シリア・レバノン間の国境に外国軍を配置することでヒズボラへの武器流入を防止する案が米国によって草案化されたとされる。

 アメリカン大学ベイルート校のタシジアン氏は、シリアに駐留するロシア軍がヒズボラの活動制限に協力する可能性を指摘する一方、ロシアがヒズボラの完全な弱体化を望んでいないと分析している。ロシアは、ヒズボラやイランがアメリカの影響を抑制する上で有用と考えているが、一方でシリアでの不安定化は避けたいと考えている。

 中東でのロシアの影響力について、元米国務省アナリストのヤクビアン氏は、レバノンでのロシアの影響力は限定的で、シリアほど強力ではないと述べている。ヤクビアン氏によると、レバノンの複雑な宗派間の対立に対応するためには、より大規模な介入が必要であり、現在のロシアにはその能力が欠けている。

 レバノンでは、ロシアはヒズボラを支持するシーア派だけでなく、キリスト教徒コミュニティやその他の重要な政治勢力との関係も構築してきた。これにより、イランが欠いている影響力を一部補っている。しかし、米国は依然としてレバノンの主要な関与者であり、またイランやサウジアラビアも主要な影響力を持っているため、ロシアの和平仲介役としての役割には限界があるとされる。

【詳細】

 ロシアが中東の紛争において和平仲介者としての役割を果たす可能性について報じている。特に、ロシアがイスラエルとレバノンのヒズボラ(Hezbollah)との間の紛争を調停するために役割を果たすことを検討されている点が焦点である。アメリカのアモス・ホッホスタイン(Amos Hochstein)およびブレット・マクガーク(Brett McGurk)といった政府関係者が支持する停戦案が進行中であり、ロシアもこの案に参加する可能性が議論されている。

 背景とロシアの立場


続きを読む


コメント(全0件)


記事を書く
powered by ASAHIネット