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【概要】
ロシアのラブロフ外相は、2024年11月2日にモスクワで開催された「ロシアの世界」基金の第16回ロシアの世界総会で、ウクライナの領土問題に関する見解を述べた。彼は、ウクライナ指導部が西側諸国の支援を受けて合意を破り続ける限り、ウクライナに残る領土が縮小していくとの主張を展開した。
ラブロフ外相は、2014年2月に全ての合意が守られていれば、クリミアは今もウクライナの一部であり続けただろうと述べ、また、2015年2月に採択されたミンスク合意が遵守されていれば、ドンバス地域もウクライナの一部であり続けたはずだと指摘した。さらに、彼は2022年4月にイスタンブールでのロシア・ウクライナ和平交渉の3度目の機会があったことも言及し、当時の合意が重要であったと強調した。
この発言は、ロシア側が過去の合意を再度強調し、それに従わないウクライナに対して責任を問いかける形となっている。また、ロシアのプーチン大統領も2023年7月にカザフスタンでの上海協力機構首脳サミットで、イスタンブールでの交渉での合意が依然として交渉の基盤となる可能性があると述べ、ロシア側の交渉の意志を示している。
【詳細】
ラブロフ外相の発言は、ウクライナとの紛争におけるロシアの立場を示す重要なものである。彼はウクライナ指導部が西側諸国からの支援を受けて合意を破り続けることが、ウクライナの領土を縮小させる要因であると指摘した。以下に、彼の発言の背景と要点を詳しく説明する。
1. 合意の履行と領土の問題
ラブロフ外相は、ウクライナが合意を遵守していれば、特に以下の二つのケースにおいて、現在の領土問題は異なる結果を迎えていたと主張した。
・クリミア問題(2014年): ラブロフは、2014年2月にウクライナでの政変が発生した際、ロシアがクリミアを併合したことを正当化するために、当時の合意が守られていれば、クリミアは今もウクライナの領土であったはずだと述べた。彼は、ウクライナが内部の問題を解決できずに合意を破ったことが、この状況を引き起こしたとする。
・ミンスク合意(2015年): また、2015年2月に成立したミンスク合意についても言及し、これが履行されていれば、ドンバス地域(ウクライナ東部の親ロシア派が多い地域)はウクライナの一部として残っていただろうと指摘した。ミンスク合意は、停戦と政治的解決を目指すものであり、双方が合意を遵守しなければ持続的な平和は得られないという見解が示されている。
2. イスタンブールでの交渉(2022年)
ラブロフは、2022年4月にイスタンブールで行われたロシア・ウクライナ和平交渉についても言及した。これは、ウクライナ侵攻の初期段階に行われたものであり、双方が停戦に向けた合意に達する可能性があると期待されたが、最終的には合意に至らなかった。ラブロフは、この交渉が「3度目のチャンス」であったとし、ウクライナがその機会を逃したことが、現在の状況を悪化させたと強調した。
3. プーチン大統領の見解
さらに、ラブロフの発言は、ロシアのプーチン大統領の言及とも関連している。プーチンは2023年7月、カザフスタンでの上海協力機構(SCO)首脳サミットにおいて、イスタンブールでの合意が依然として「交渉テーブルの上にある」と述べ、今後の交渉において基盤となる可能性があることを示唆した。これは、ロシアが依然として和平交渉に向けた意欲を持っているというメッセージであり、国際的な場におけるロシアの立場を強調するものとなっている。
4. 西側諸国への指摘
ラブロフの発言は、ウクライナが西側諸国からの支援を受けていることを批判する意図も含まれている。ロシア側は、西側諸国がウクライナの合意違反を助長しているとの見解を持ち、これが紛争の長期化を招いていると主張している。つまり、ウクライナが西側の影響下で行動する限り、ロシアはその領土を守るための行動を強化し続けるという立場である。
結論