https://www.asahi-net.or.jp/~np9i-adc/

NATOに対するアメリカの政策は今後変化する見込み
2025-02-23


禺画像]
【概要】
 
 トランプが中東欧から米軍を完全に撤退させたり、NATOの第5条を放棄することはあり得ないという見解を示している。ドイツのBild紙は、西側の情報機関の名前のない関係者を引用し、トランプがプーチンが2021年12月に求めた安全保障の条件に従って、米軍を中東欧から撤退させる計画を立てていると報じている。また、ドイツの次期首相候補であるフリードリヒ・メルツ氏は、トランプがNATOの第5条を放棄する可能性に備える必要があると公言した。

 しかし、トランプがこれらの決定を実行する可能性は低いと予測している。とはいえ、NATOに対するアメリカの政策は今後変化する見込みであり、その変化は2023年2月にトランプ支持の「Center for Renewing America」から発表された政策文書「Pivoting the US Away from Europe to a Dormant NATO」に詳述されている内容に基づくものになるだろう。この文書では、アメリカが中国をアジアで封じ込めるために力を注ぎ、ヨーロッパ防衛をEUに任せる方法が示されている。

 トランプが全てのNATO加盟国に対してGDPの5%を防衛費として支出するよう求めているのは、この方針の一環であり、また、ロシアとアメリカの「新しいデタント」政策にも関連している。ウクライナとロシアの間で停戦や平和条約を仲介することにより、アメリカの中東欧における部隊をアジアに再配置することが目指されている。その結果、ヨーロッパ諸国に防衛支出の増加を促す狙いがある。

 新任のアメリカ国防長官ピート・ヘグセス氏は、今月初めにワルシャワを訪れた際、ポーランドを「大陸での模範的な同盟国」と称賛した。トランプは初期の任期においてポーランドをアメリカの最も重要な同盟国として位置付けようとしたため、ポーランドから米軍を撤退させることは考えにくい。むしろ、ポーランドは再びアメリカの主要なパートナーとして位置づけられるだろう。

 一方、バルト三国はポーランドほどの地域的意義を持たないため、ロシアとの紛争を引き起こしてアメリカの介入を期待する可能性がある。トランプは、このような場合、米軍をバルト三国から撤退させることを選択し、彼らが地域紛争を引き起こしてもアメリカが支援しないことを伝える可能性がある。

 米独間の政治的緊張が高まる中、アメリカはドイツから部隊を撤退させ、ポーランドに再配置する可能性もある。最も極端なシナリオでは、アメリカのヨーロッパ軍司令部をシュトゥットガルトからポーランドの都市に移すことも考えられるが、これには多大な準備が必要であり、現時点では確実ではない。

 米軍がヨーロッパからアジアに再配置されることで、ロシアにとっては一定の満足感を与えるだろう。特に、NATO加盟国がロシアとの紛争を引き起こしても、アメリカが自動的に介入することはないとのメッセージが発せられれば、米露の安全保障上のジレンマを和らげることができる。

【詳細】

 ドナルド・トランプが米軍を中東欧から完全に撤退させたり、NATOの第5条を放棄したりする可能性は低いが、アメリカのNATOに対する政策は変化する可能性が高いという見解を示している。特に、アメリカが欧州防衛をEUに任せる方向にシフトし、アジアでの中国への対応を強化する可能性があることを示唆している。

 1. トランプの政策の方向性

 ドイツのBild紙は、トランプがロシアのプーチン大統領が2021年12月に求めた安全保障の条件に従い、米軍を中東欧から撤退させる計画を立てているという報道をした。この内容は、ロシアがウクライナ侵攻を防ぐために提示した安全保障要求の一環であり、トランプがその要求に応じるというものだ。これに対して、ドイツの次期首相候補であるフリードリヒ・メルツ氏は、トランプがNATOの第5条を放棄する可能性に備えるべきだと警告している。


続きを読む


コメント(全0件)


記事を書く
powered by ASAHIネット