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バリカタン演習(Balikatan 2025)について
2025-04-21


【概要】

 2025年4月20日(日)、中国人民解放軍南部戦区海軍のZhao Zhiwei(チョウ・ジウェイ)上級大佐によれば、フィリピンのコルベット36号が中国政府の許可なく黄岩島の中国領海に不法に侵入した。これに対し、同戦区海軍は法に基づき、部隊を派遣して追跡・監視・警告・排除を行ったと発表された。

 一方、フィリピンの報道機関によれば、米比合同軍事演習「バリカタン(Balikatan)」が2025年4月21日(月)より開始される予定であり、これに伴い、米軍が対艦ミサイルシステム「NMESIS(Navy-Marine Expeditionary Ship Interdiction System)」をフィリピン北部のルソン海峡に展開することが明らかになった。これは同システムがフィリピンに初めて配備される事例である。

 中国の軍事問題専門家によれば、フィリピンは外部勢力の力を借りて南シナ海における違法な領土的拡張を試みているが、このような動きは望まれる成果を得られず、かえって重大な結果を招く可能性があると述べた。

 今年の「バリカタン」演習は、2025年4月21日から5月9日まで実施され、南シナ海に面する戦略的な地域や州が含まれる。比米両軍関係者によれば、これは実戦を想定した訓練と位置づけられており、フィリピン軍5,000人、米軍9,000人が参加する予定である。

 また、オーストラリアと日本が演習に「アクティブ・オブザーバー」として参加し、チェコ、ポーランド、コロンビアもオブザーバーを派遣することが、バリカタン演習の責任者であるマイケル・ロジコ准将によって明らかにされた。

 先週、フィリピン国軍はNMESISの同国内到着を確認したが、正確な配備場所については明らかにしていない。米海兵隊第3沿岸連隊の中距離ミサイル部隊は、NMESISをバリカタン演習期間中にルソン海峡へ送る予定である。同ミサイルシステムの射程は185kmであり、バタン諸島に展開されれば、幅250kmのルソン海峡を通過する艦艇に対して脅威となる可能性があると報じられている(出典:Naval News)。

 ミサイルの実射は行われないものの、同連隊の火力支援調整センターは、ルソン海峡の島嶼にNMESISを配置することで、模擬の火力任務を実施する計画であると米海兵隊は述べた(出典:Philippine Daily Inquirer)。

 また、台湾本島とフィリピンの間に位置する「第一列島線の戦略的チョークポイント(海上封鎖の要所)」にミサイルを配備する動きであると報じられている(出典:Taipei Times)。

 中国の軍事問題専門家であるZhang Junshe(チャン・ジュンシェ)氏によれば、今回の米軍によるフィリピン北部へのNMESIS配備は、巴士海峡(バシー・チャンネル)を通過する艦船に対する脅威となる。特に、人民解放軍が「台湾独立」勢力に対する軍事行動を行う場合、同システムは台湾南西部の海域に展開する海軍戦力に対し脅威を与える可能性があると述べた。

 また、同氏は、今回の配備は、以前米国が「タイフォン(Typhon)」中距離ミサイルシステムをフィリピンに展開した事例に続くものであることを指摘した。タイフォンは2024年4月の軍事演習期間中に搬入され、演習終了後も長期間フィリピン国内にとどまっていた。

Zhang氏によれば、米国はこれら二種のミサイルシステムを展開することで、最大射程1,800kmにおよぶ長・中・短距離の打撃ネットワークを構築し、中国の東南沿岸部、台湾海峡、巴士海峡、南シナ海南部をカバーする態勢を形成したとされる。

 Zhang氏はさらに、他のASEAN加盟国と同様に、中国は米国による中距離および地上発射型対艦ミサイルのフィリピン配備に強く反対していると述べた。これは南シナ海地域の平和と安定を確実に損なう行為であるとされる。

 加えて、Zhang氏は「万一紛争が発生すれば、ミサイルが配備された地点は確実に反撃の標的となる」と指摘し、「フィリピンの対応は、捕食者に門戸を開くようなものであり、最終的には自らに跳ね返る結果となる」と述べた。

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