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国境警備の象徴としての「Paiyike辺防派出所」
2025-04-22


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ロンジクの祖父カディール・アブドゥケリム(Kadeer Abudukelimu)は、1940年代から始まるこの地域の治安維持における伝説的人物。彼が自らの手でタジク語で家訓を刻んだ石には、「中国の繁栄のため、四十年国境を守った。子孫たちもこの神聖な任務を受け継ぐ」とあり、これが世代を超えて**「血に刻まれた忠誠」**として受け継がれている。

 2. 国境警備の現場における世代交代と進化

 この記事はノスタルジーだけでなく、現代の若者がどのように国境防衛の意義を再定義しているかという点も描いている。

 ・知識と理想を携えて辺境へ

 新たな世代を代表するのが**Yuan Xiao(ユアン・シャオ)**という若い警官である。彼は法学修士を取得し、都市部の高待遇ポストを蹴ってこの過酷な国境地帯を選んだ。「祖父が建設に参加したカラコルム・ハイウェイをこの目で見たかった」──それが彼の出発点であった。

 ・現実の過酷さと自己疑念

 着任初日、彼は高度5,100メートルの巡回で高山病に苦しみ、「理想だけで自分に何ができるのか」と自問するが、先輩警官リウ・レイの石碑に刻まれた「恐れるな(Don't be afraid)」の言葉に支えられる。

 ・知識を活かした実務の革新

 現在、Yuan Xiaoは国境法執行に関する研究や論文執筆をパトロールの合間に行い、知的資源の提供者としても貢献している。祖父の「不屈の肉体労働」に対して、自らは「知識と技術による貢献」を選んだという対比も明示的である。

 3. 国家観・忠誠・家族の絆という価値観

 このレポートを通じて浮かび上がるのは、国境を守るという行為が単なる職務ではなく、「家族の物語」「民族の誇り」「国家の命脈」そのものであるという中国的な価値観である。

 ・「一石一誓(ひとつの石にひとつの誓い)」という伝統

 ・「国境線のあるところに、我らの心がある」という信条

 ・「たった一つの石すら、外敵には渡さない」という決意

 こうした表現を通じて、警察官たちは国境線という物理的線引きを、精神的・文化的結束の象徴として体現している。

 総括

 このルポは、中国が対外的に提示する「愛国・民族団結・辺境統治の正当性」を語るための、記憶・物語・象徴の集合体である。

 また、映画的な情景や個人のエピソードを交えながらも、「現在の中国がいかに辺境を開発・安定化させ、若者の理想を受け止めているか」を印象づける意図も感じられる。

【要点】 

 1.地理・背景

 (1)舞台は新疆ウイグル自治区のタシュクルガン・タジク自治県

 ・中国の最西端、アフガニスタン、タジキスタン、パキスタンと接するワハーン回廊付近。

 (2)国境線の防衛は地形的にも精神的にも過酷な任務。

 2.歴史的背景と継承

 (1)映画『冰山上的来客』(1963年)のモデルとなった英雄の孫が、今も国境警備に従事。

 ・祖父は40年以上にわたりこの地域を守ったカディール・アブドゥケリム。

 ・祖父が石に刻んだタジク語の家訓:「子孫もこの聖なる任務を継承せよ」。

 (2)旅行者・ Chen Dawei が訪れた際、偶然その孫に出会い、「映画と現実」が交差。

3. 若い世代の登場と使命感

 (1)若い警官・Yuan Xiao(ユアン・シャオ)

 ・都市の好待遇職を辞退し、辺境勤務を志願。

 ・祖父が建設に参加したカラコルム・ハイウェイへの敬意が動機。

 (2)初勤務時の試練

 ・高度5,100mの巡回で高山病に苦しむ。

 ・石碑に刻まれた言葉「恐れるな(Don’t be afraid)」が支えに。

 (3)知識と実務の融合

 ・国境法研究や論文執筆を通じて、専門知識で貢献。

 4. 精神的価値観の強調

 ・「一石一誓」=石に刻む家訓・誓いが家族と民族の絆を象徴。

 ・「国境線のあるところに心がある」という信念。


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