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【概要】
2025年6月4日、韓国において第21代大統領に共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)氏が選出され、同日中に就任式が行われた。これを受けて、中国の習近平国家主席は李大統領に祝意を伝え、中国が中韓関係の発展を重視していることを表明した。習主席は、中国は中韓の国交樹立時の精神に基づき、善隣友好と互恵共栄を堅持し、戦略的協力パートナーシップの継続的発展を共に推進したいと述べた。これは、中国が両国関係の未来に対し大きな期待を寄せていることを示している。
今回の大統領選挙は、前大統領尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏の弾劾に伴って実施されたものである。韓国国民の間では、政局の混乱からの脱却と国家運営の正常化が強く望まれていた。李氏は当選直後、速やかに就任式を行ったが、これは形式的な手続きを越えて、新政権への切り替えに対する社会的な緊急性を反映している。李大統領は就任演説において、国民生活の回復と経済の再生を優先課題とし、外交政策については国益を軸とした実用主義に基づく方針を示した。韓国メディア「コリア・ヘラルド」は、李氏の外交姿勢を「北朝鮮政策および全体的な戦略的方針の再設定」として評価し、「二項対立の選択に縛られない」との観点を示した。中国は、このような国益重視の外交姿勢が中韓関係に前向きな影響をもたらすことに期待を寄せている。
尹政権下における「価値に基づく外交」は、一方的な外交姿勢を強め、韓国を「グローバル中枢国家」にするとの主張とは裏腹に、かえって不安定な状況を生み出したとされる。李政権の「実用的外交」では、こうした片寄った方針を修正し、中国を含む周辺国とのバランスある関係の再構築が求められている。
南北間の緊張が続くなか、米韓同盟の「恩恵」は、駐留米軍の経費負担や貿易摩擦といった代償によって相殺されつつある。これらの要素は韓国経済に重くのしかかり、将来に対する国民の不安感を増大させている。こうした背景のもとで、中韓関係も国交樹立以来、最も厳しい局面に直面した。特に、尹政権による台湾問題に関する発言や行動は、二国間の協力に対し深刻な障害をもたらした。
中国と韓国は、地理的に近接し、常に隣接して共存せざるを得ない関係にある。また、両国は長年にわたり制度やイデオロギーの違いを乗り越え、互いに協力と成功を築いてきた歴史を有する。李大統領はかねてより、「実用的外交とはイデオロギーを超えたものであり、韓国は中国との関係を断ち切ることはできない」と述べており、「経済的に深く結びついており、地理的にも分離不可能である。それが運命だ」との認識を示している。
中国は韓国にとって最大の貿易相手国であり、韓国の対外投資における主要な対象国でもある。両国企業にとっても重要な市場であり、第三国との協力を含めた経済関係の深化には大きな潜在力がある。近年、産業分野においては競争も強まっているが、協力の戦略性と互恵性という本質は変わっていない。中国の巨大市場、完備された産業基盤、そして対外開放の継続は、韓国経済にとって引き続き大きな機会である。
中韓は地域問題でも協力の可能性を有しており、自由貿易の推進、朝鮮半島の安定維持、不確実性への共同対処などにおいて、役割を果たす余地がある。戦略的対話の維持と友好的協力の拡大は、東アジアにおける貿易・人の往来の促進のみならず、両国の経済成長にも寄与し、地域および国際社会にとっても歓迎される積極的なシグナルとなる。