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これまで、エチオピアとエジプトは、ソマリアを巡る代理戦争を繰り広げる可能性が高いと見なされていた。エチオピアは、エジプトとエリトリアにより、ソマリアの海上アクセスを妨害されており、経済的、政治的な安定を保つためには、海へのアクセスを確保することが必須であった。このため、エチオピアはジブチを通じて海上アクセスを得ていたが、ジブチの港湾料金が高額であり、これを避けるために別のルートを模索していた。最終的に、エチオピアはソマリランドとの協力を選択し、2024年1月に覚書(MoU)を締結するに至った。
2. ソマリアの反応とエジプト、エリトリアの影響
ソマリランドとの合意は、ソマリアのハッサン・シェイク・モハムド首相(HSM)にとって非常に不安定な要素となった。HSMは、エジプトとエリトリアの支持を受けて、エチオピアとの合意に反発した。このことが地域の不安定化を引き起こし、代理戦争の可能性を高めた。エチオピアとエジプトの間の対立は、最悪のシナリオとして代理戦争に発展する危険性があった。
3. トルコの仲介と和解の進展
2024年12月に、エチオピアとソマリアの首脳はトルコの仲介で2回目の対話を行った。この対話により、ソマリランドとの合意は事実上停止されることとなり、代わりにソマリアはエチオピアをアフリカ連合主導の新たな軍事任務(AUSSOM)に含めることで合意した。この妥協は、エジプトとエリトリアに対するエチオピアの立場を強化し、またソマリア自身の利益も守る結果となった。これにより、エチオピアとソマリアの関係は急速に改善し、代理戦争のリスクは回避された。
4. 今後の展望
エチオ・ソマリア和解が進展すれば、地域戦争のリスクは大きく減少する可能性が高い。エジプトやエリトリアは、エチオピアとの対立を深めることなく、別の道を模索せざるを得ない状況になるだろう。また、ソマリランドはエチオピアと手を結んだことで、他国からの認知を得る可能性が高まると期待される。具体的には、米国やインド、英国、ロシア、UAEなどの国々からの認知が進むことが予想される。
さらに、エリトリアは現大統領イサイアス・アフワルキが退任した後、より現実的なリーダーが指導することで、エチオピアとの和解を模索する可能性がある。これにより、ホーン地域の安定が実現する可能性も出てきた。
5. エジプトの教訓
エジプトにとって、ホーン地域への干渉が引き起こした対立は、今後の外交政策において重要な教訓となるだろう。もしエジプトがこれまでの干渉を反省し、ホーン地域への影響力を減少させることができれば、エチオピアとの関係が改善され、地域の安定が進む可能性がある。エジプトはこの教訓を生かし、今後は他の地域での影響力拡大を目指すことになるだろう。
まとめ
エチオ・ソマリアの和解は、地域の安定化をもたらす重要な進展であり、その背後にはトルコの仲介が大きな役割を果たしている。この和解がさらに進展すれば、エジプトやエリトリアとの対立が解消され、ホーン地域全体の安定が進む可能性がある。
【要点】
1.エチオ・ソマリア和解の背景
・エチオピアは、エジプトとエリトリアによって海へのアクセスを妨げられており、経済的・政治的安定のために新たな海上アクセスルートを求めていた。
・ジブチの高額な港湾料金を避け、ソマリランドとの協力を決定し、2024年1月に覚書(MoU)を締結。
2.ソマリアの反応と影響
・ソマリランドとの合意に対し、ソマリアのハッサン・シェイク・モハムド首相(HSM)がエジプトとエリトリアの支援を受けて反発。
・これにより、代理戦争の危険性が高まり、地域の不安定化が進んだ。
3.トルコの仲介と和解の進展
・2024年12月に、エチオピアとソマリアの首脳がトルコの仲介で2回目の対話を実施。